京浜急行電鉄(本社:神奈川県横浜市)は、経理システムにおける取引先マスターの申請・更新に要する負担をノーコード開発で軽減した。申請の受付から承認、経理システム連携用ファイルの生成、進捗管理までを一元化するアプリケーションを、ノーコード開発ツールのkintoneで構築した。kintoneを提供したサイボウズが2026年10月19日に発表した。
京急電鉄は2022年から順次、グループ各社にERP「SAP S/4HANA」を導入した。この一方、業務システムをグループで共通化したことによる弊害も出ていた。例えば、取引先マスターの登録・更新作業では、グループウェアやメールでグループ各社からExcelファイルを受け付け、内容を確認し、Excelマクロを使ってSAP連携用のファイルを生成するといった手順をとっていた。申請書の記入漏れや形式不備(半角カナの混入、略称ルール違反)も生じ、対応状況の把握も困難だった(図1)。
図1:取引先マスターの申請・更新作業を効率化した京急電鉄の事例(出典:サイボウズ)拡大画像表示
今回、取引先マスターの登録・更新作業を省力化するアプリケーションをノーコード開発ツールの「kintone」(サイボウズが提供)で開発した(画面1)。申請・承認やデータ整形を担うフロントエンドをkintoneで開発し、SAP S/4HANAとはAPIではなくファイルを介して連携する設計にした。
画面1:京急電鉄がkintoneで作成した、取引先マスターの申請画面(出典:サイボウズ)拡大画像表示
アプリケーション上では、申請内容、対応状況、過去の変更履歴などを一元管理する。メールや申請ファイルを探す手間を省き、記入漏れや入力形式の不備も抑制する。SAP連携用ファイルの生成も標準化し、担当者の違いによる作業のばらつきも抑制する。
IT部門の伴走の下でプロトタイプを作成し、アジャイル型で改善を繰り返した。続いて、経営戦略室の2人が中心となって3~4カ月で開発し、2026年2月に稼働させた。目視確認や差し戻しが減った結果、年間で約600時間、約75%にあたる業務時間を削減する効果を見込んでいる。
京急電鉄は次のステップとして、業務担当者みずからkintoneを使って業務を改善する市民開発に取り組む。現在、SAP製品の保守にかかる問い合わせ対応を一元管理するアプリケーションと、本社の取引先情報を管理するアプリケーションの2つを検討している。
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