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Windows 11への移行に残された猶予はあと1年! 後悔しないためにこの1年をどう使うか

2024年10月8日(火)

Windows 10のサポート終了(EoS)が1年後に迫り、Windows 11への移行が急務となっている。ただ、作業は一筋縄ではいかない。移行に向けたPCの“リプレース”と“アップグレード”のいずれかの選択を筆頭に、業務アプリケーションの事前検証、管理基盤のモダン化の検討、実展開に向けた予算取りなど、実施すべきことが山積している。レノボ・ジャパンの元嶋亮太氏(企画本部 製品企画部 マネージャー)が、モダンな管理基盤による移行後のデバイス管理まで含めた、移行作業の“現実解”を解説する。
提供:レノボ・ジャパン合同会社

レノボ・ジャパン合同会社 企画本部 製品企画部 マネージャー 元嶋亮太氏

EoSまで1年を切るWindows 10

 「最後のWindows」とのフレーズとともに2015年にリリースされたWindows 10。だが、2021年10月に登場したWindows 11 から約4年が経過し、その寿命もいよいよ残りわずかとなった。Windows 10のEoS(End of Support:サポート終了)は2025年10月14日。その後の継続利用のリスクの大きさは明らかで、特にセキュリティパッチの提供停止は、情報漏洩や事業停止といった企業経営への甚大な打撃にもつながりかねない。一般的に、数千台規模のPCのOS移行には8カ月から1年を要すとされ、Windows 11への移行はもはや待ったなしの状況だ。

 状況を概観すれば多くの企業の大半が移行作業に動いている模様だ。レノボ・ジャパンがMM総研に委託した調査結果によると、2024年3月時点で「移行を完了」との回答は全体の24%、「移行/導入中」も23%と、約半数の企業がWindows 11への切り替えを完了、ないしは実作業の最中にある。「検証中」(27%)や「検討中」(13%)も合わせれば8割以上が何らかの対応を進め、「今後検討」はわずか10%だ(図1)。

図1:企業のWindows 11導入状況(レノボ・ジャパンがMM総研に調査委託 2024年3月調べ)
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 Windows 7からのOS移行では、Windows 8をスキップし、Windows 10へと移行した企業が多く、そこではOSの互換性の低さから既存アプリの動作検証や改修などでの苦労の様子が少なからず見受けられた。一方でWindows 11のアップデート体験はWindows 10におけるFeature Updateに近く、互換性問題もそれだけ生じにくいことが今回の円滑な動きにつながっていると見て間違いないだろう。

 とはいえ、いくら互換性が高くても検証なしで導入するのは現実的ではなく、「移行作業に苦労する企業もいまだ散見されます」と指摘するのはレノボ・ジャパンの元嶋亮太氏(企画本部 製品企画部 マネージャー)だ。

 「主な原因はITスタッフ不足によるPC環境の把握の遅れです。大企業でも、グループ共通で利用する独自アプリの検証に予想外に時間を取られるケースがあるようです」(元嶋氏)

最初の判断は「リプレース」か「アップグレード」か

 EoSによるリスク回避に向け、移行完了は早いほど望ましい。元嶋氏が、その“最初の一手”と位置づけるのが、「Windows 11がプリインストールされたPCへのリプレース」と「既存PCのWindows 11へのアップグレード」のいずれかの選択の見極めである。

 コストを抑えるのであれば後者が有力だ。マイクロソフトの『PC正常性チェック』をクリアしたPCなら、理論上はこの手法を選択できる。もっとも、そこでの“落とし穴”として元嶋氏が注意を促すのが、PC内のデバイスや周辺機器向けのWindows 11用ドライバの有無だ。

 「OSをアップグレードできても、対応ドライバが用意されていなければ確実な動作を保証できず、アップグレードは断念せざるを得ません」(元嶋氏)

 アップグレードの判断で目安となるのが、Windows 11がリリースされた2021年10月以降にリリースされたPCかどうかだ。以降にリリースされた機種はWindows 11を前提に設計され、問題なくアップグレードできる機種が大半だという。無論、メーカーのホームページなどでのドライバの確認も怠るべきではなく、レノボもThinkPadをはじめとする自社製PCのWindows 11対応情報をWebで広く公開している。

 一方で、リプレースは特にコストを要す半面で、新世代PCの最新技術を業務に取り込めるのがメリットだ。コロナ禍を機にしたリモートワークの定着により、社員の働く場は社外に一気に広がった。これを受けレノボでは、作業の快適性、ひいては生産性向上を支援すべく、ThinkPadなどの同社のPCにおいてWi-Fi 6Eや5G/4G-LTEへの対応を推進。併せてThinkPad X/Tシリーズでは500万画素カメラを採用したり、ノイズキャンセリング技術「Dolby Voice」によるマイク音質の最適化に取り組んだり、利用頻度が高くなったWeb会議に合わせてバッテリ駆動時の電源プランを最適化したりなど、場所を問わないコラボレーションのための機能強化に注力している。

今後の「PC管理」に貢献する2つの管理ツール

 リプレース/アップグレードの見極めに次いで取り組むことになるのが既存アプリの動作検証と、必要に応じたアプリの改修だ。元嶋氏は「アップグレードを選択した企業では、複数機種が稼働している場合もあるでしょう。面倒だとは思いますが万全を期すために、全機種での動作を必ず実機で確認すべきです」とアドバイスする。

 併せて、元嶋氏がこのフェーズでの検討を強く推奨するのが、「PCの管理基盤のモダン化」だ。すでに述べた通り、PCの利用場所が社外へ急速に広がったことで、「設定作業だけを見ても従来手法の踏襲が困難となり、作業負荷は格段に増しています」(元嶋氏)。設定ミスや漏れもそれだけ生じやすく、外部攻撃の巧妙化も相まって被害リスクも着実に増している。

 その対応策となるのが、「Windows Autopilot」や「Microsoft Intune」に代表されるクラウド型デバイス管理ツールの活用だ。前者はMicrosoft Entra ID(旧Azure AD)と連携し、PCの初回起動時にポリシーを含むOSの各種設定や業務アプリケーションのインストールといった初期設定作業を、クラウド経由で自動的に実施するものだ。一方の後者はPCやモバイルデバイスのセキュリティ/管理ツールであり、端末のポリシーや設定、アプリケーションのリモートによる一元的な可視化と管理を実現する。

 PCの社内展開は面倒な作業で、IT部門はこれまで、そのキッティングに少なからぬ手間と時間――新たなPCを手配し(あるいは現場からPCを回収してアップグレードを行い)、情報システム部門(あるいは業務委託先など)がOSイメージを作成して各種の設定作業を行ったうえで、PCを現場に配布する――を費やしてきた。

 両者はそこでの作業効率化の“現実解”でもある。Windows Autopilotの利用を通じ、働き方の多様化によりPCの利用シーン、ひいては社内PCの機種が増加傾向にある中にあって、PCの登録やプロファイルの作成・割り当てなどの事前実施とキッティングを行え、新たなPCの配布に伴う作業の手間を抜本的に削減できる。その仕組みから、IT管理者の手を介することなく、従業員宅へのPCの直送も可能だ。また、Microsoft IntuneによるPCの利用場所を問わない管理の厳格化を通じて、運用中のセキュリティリスクにも動的に対応できる。

余裕ある移行を実現するなら今が最後のチャンス

 Windows AutopilotやMicrosoft Intuneの利用にはコストとともに、PC自体や接続先などの登録などで少なからぬ手間も要す。とはいえ、PCの利用場所や接続先が今後、さらに多様化することが確実視される中、MDM(モバイルデバイス管理)による端末管理の厳格化は特にセキュリティ確保の観点からも不可欠だ。

 「MDMにはいずれ取り組まねばならず、であるのなら、PCの入れ替えはその良い機会と言えます。モダンな管理基盤を今後、どう整備するかを検討する意義は、将来的に決して小さくないはずです」(元嶋氏)

 それらが決定すれば、いよいよ実導入作業だ。PCやOSの配布方法、タイミングなど考えることはいくつもあるが、「真っ先に決めるべき」(元嶋氏)は時間的な猶予が限られた中での展開計画である。

 「今ならRFI(情報提供依頼書)やRFP(提案依頼書)をベンダーに提出してのPC選択がまだ間に合います。逆に言えば、今がそのための本当に最後のタイミングと言えます」(元嶋氏)

 同時並行で予算確保にも動く。「管理基盤のモダン化なども併せて取り組む場合には、後に追加コストが生じないよう、メーカーや付き合いのある販売店に予算作成のサポートを求めるべきです」と元嶋氏はアドバイスする(図2)。

図2:Windows 11導入のタイムライン。まだ具体的なアクションを起こしていない企業がOS検証に要する期間は平均156日(レノボ調べ)。今から始めれば2025年10月のタイムリミットまでに余裕をもって対応できる
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ESUで寿命を最大3年伸ばせるものの……

 一方で、移行作業を進めながらも、何らの事情でEoSまでに間に合わない企業もあるはずだ。そこでの“最後の選択肢”が、「拡張セキュリティ更新(ESU)プログラム」である。EoS後もマイクロソフトが有料でセキュリティパッチを提供するものであり、最長で28年10月まで継続利用できる。

 ただし、「ESUの利用は最後の手段と考えるべき」と元嶋氏。まだ詳細は明らかになっていないが、ESUによる追加のコスト負担は当然、回避できた方が望ましい。また、利用には2022年10月にリリースされた「22H2」の適用が前提となるといった制約もある。

 「ESUによりWindows 10の寿命を延ばせるのは長くても3年です。その間の、デバイスのドライバやファームウェアの脆弱性への対応といった観点も考える必要があり、またESUはあくまでもパッチファイルの提供でサポートではありません。それら勘案すれば採用するとしても、できる限り範囲を絞った方が無難です」(元嶋氏)

移行の多様な“困り事”まで包括的に支援

 展開計画の作成に当たっては細かなポイントがいくつもある。Windows AutopilotやMicrosoft Intuneにより、キッティングの手間は大幅に削減されるものの、初回利用時には戸惑うことも多く、ポリシー設定などに手間取ることで作業に想定以上の期間を要すことも十分に考えられる。IntuneによるPCへのアプリケーションの配布時には社内ネットワークの逼迫も予想され、「対応のために事前の必要最低限のアプリのPC導入が必要なケースもあります」(元嶋氏)。

 それらの細かな、しかも気づきにくい課題対応まで支援すべく、レノボでは「Windows 11 PoCサービス」「Autopilot事前調査サービス」などの移行支援サービスを用意する。

 前者は導入や移行の計画策定を技術面から支援するサービスだ。利用予定のアプリケーションや認証機能、ネットワーク機能などについて企業へのヒアリングを実施したうえで、レノボのエンジニアが実際にPoCを実施したうえで、検証結果をレポートに取りまとめ、併せて展開計画を提案する。

 一方の後者は、Windows AutopilotによるWindows 11への移行を支援するサービスだ。企業が計画するキッティング作業を精査し、Autopilotでの作業の可否を調査報告書に取りまとめる。

 そのうえで、レノボでは、PCのBIOS設定の工場の出荷段階で実施や、資産管理ラベルの事前添付といったサービスなども用意。セキュリティベンダーなどと連携し、Microsoft Intuneなどを活用した、運用フェーズで活用を見込めるエンドポイント管理やデータ管理、パッチ管理ソリューションなども幅広く提供する。

 「作業期間に猶予はそれほどありません。時間を無駄にしないよう、疑問があればぜひレノボにご相談ください。ビジネス向けPCのThinkPadで培ってきた豊富な技術や知見を基に、我々はWindow 11移行の多様な困りごとへの対応をハードからソリューションまで一貫して支援します」(元嶋氏)

 新OSの移行は避けては通れない。その支援のみならず、運用フェーズの高度化まで包括的に支援するレノボの存在感は、2025年10月まで1年を切る中、さらに大きなものとなりそうだ。


●お問い合わせ先

レノボ・ジャパン合同会社
URL :https://www.lenovojp.com/business/

Windows 11への移行に残された猶予はあと1年! 後悔しないためにこの1年をどう使うかWindows 10のサポート終了(EoS)が1年後に迫り、Windows 11への移行が急務となっている。ただ、作業は一筋縄ではいかない。移行に向けたPCの“リプレース”と“アップグレード”のいずれかの選択を筆頭に、業務アプリケーションの事前検証、管理基盤のモダン化の検討、実展開に向けた予算取りなど、実施すべきことが山積している。レノボ・ジャパンの元嶋亮太氏(企画本部 製品企画部 マネージャー)が、モダンな管理基盤による移行後のデバイス管理まで含めた、移行作業の“現実解”を解説する。
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