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[2020年を見据えた「グローバル企業のIT戦略」]

【第3回】ITへの“真逆な”とらえ方がクラウドの方向性を変える

2014年1月6日(月)入江 宏志(DACコンサルティング 代表)

2020年を見据えた「グローバル企業のIT戦略」を取り上げる本連載。IT戦略における日本と世界の差異を見極めるための観点として、第2回では、日本と海外の間にある「スケールの差」を考えてみた。そこには極端なほどに異なる規模感があった。今回は、「ITのとらえ方の違い」を考えてみよう。欧米と日本のITのとらえ方には違いがあるというよりは、もう“真逆”のようだ。

 現在、垂直統合型のアプライアンスが流行っている。特定の機能に特化する形で、サーバーやストレージ、ネットワーク、ミドルウエアなど製品を組み合わせた製品だ。

 このアプライアンスの某製品について、「日本のSI事業者はあまり積極的に取り組んでくれない」と、シンガポールにいる某ITベンダーからの愚痴を聞かされたことがある。理由は簡単。事前にセットアップされているアプライアンスでは、SIの出番が少ないからだ。同製品は海外では、SMB領域でも良く売れているという。

(3)ビジネスとITの融合への取組み

 米国ユーザーは、ITの価値を享受するために「ビジネスとITの融合」を図っている。その一例が、経営者向けダッシュボードである。複数の情報源からデータを集め、経営者に分かりやすい形に分析・加工することでビジネスの最新状況を伝える。

 しかし日本でダッシュボードといえば、システムアラートやサービスデスクなど、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたITIL(Information Technology Infrastructure Library)に沿った運用を進めるための情報システム部門の利用に留まっている傾向がある。監視対象も、「イベント」やCPUといった死活監視が中心で、本格的にビジネスに活用する域には達していない。

 なお、ここでいうイベントとは、ITILの基本用語で、構成アイテムやITサービスの管理にとって、重要性のある状態の変更のことである。あらゆるITサービス、構成アイテム、またはモニタリングツールが生成したアラートや通知を含む。イベントは通常、IT 運用担当者に対応を求め、結果としてインシデントが記録されることが多い。

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