[調査・レポート]

システムの障害対策や自動化は海外企業が先行、IT運用を支援するAIエージェントに期待─PagerDuty調査

グローバル調査「2025年版 システム運用の現状」

2025年3月17日(月)IT Leaders編集部

インシデント管理ソフトウェアベンダーの米PagerDutyは2025年3月14日、グローバル調査「2025年版 システム運用の現状」の結果を発表した。日本企業はシステム運用の成熟度を向上させ、AIと自動化への期待を高めているが、一方で自動化戦略の確立やAIの具体的な活用方法に課題を抱えていることが明らかになったという。

 インシデント管理ソフトウェアベンダーの米PagerDuty(ページャーデューティー)は、グローバル調査「2025年版 システム運用の現状」の結果を発表した。北米、欧州、中東・アフリカ(EMEA)、アジア太平洋・日本(APJ)の各地域の年間収益5億米ドル(約740億円)以上の企業に勤務する1100以上のIT運用リーダーを対象に実施している。

システムの障害対策や自動化で海外に後れを取る

 調査から、過去12カ月で約66%の日本企業が、システム運用の成熟度を向上させ、約67%が運用のレジリエンスを強化していることが明らかになった。ただし、グローバルでは約73%が「システム障害発生時に耐えうる体制が整っている」と回答したのに対し、日本企業は約58%にとどまる(図1)。

図1:システム運用の成熟度などに関する日本とグローバルの比較(出典:PagerDuty)
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 PagerDutyは、システム障害発生時の迅速な対応には、システム運用の自動化がカギを握ると指摘している。調査結果を見ると、「首尾一貫したIT自動化戦略がある」と回答した日本企業は約60%にとどまり、グローバル(約73%)と開きがある。また、12カ月前と比べて自動化を効果的に活用できている企業は、日本では約64%、グローバルで約74%だった。

 日本企業の「(社内外のユーザーに対して)信頼できるデジタル顧客体験を提供している」への回答は約61%、「自動化を推進し、より多くのリソースを開発側にシフトすることで、新サービスなどの市場投入のスピードを改善した」への回答は約60%だった。これもグローバルと比較して後れをとっている(図2)。

図2:顧客体験の質と投入スピードに関する日本とグローバルの比較(出典:PagerDuty)
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 こうしたギャップを埋めるべく、日本企業の約71%が2025年のIT運用予算を前年比で増加させると回答している。特に「プロセス/ワークフローの自動化(約68%)」を最も投資額を増やす分野として挙げ、日本企業がみずからのシステム運用の自動化の遅れを認識している。次いで、「生成AI(約67%)」「AIエージェント(約66%)」とAI技術に対しても投資意欲が高いことが分かった。

 AI活用の優先分野については、「顧客サービスの自動化/パーソナライゼーション(約55%)」「プロセス/ワークフローの自動化(約53%)」「DevOpsの自動化(約45%)」がトップ3として挙がった。「日本企業が、高度な自動化による運用効率の向上を目指していることがうかがえる」(同社)。

 日本企業が自動化の拡大を阻む最大の障壁として、「自動化に関するデータセキュリティ上の懸念(約38%)」が挙がり、「自動化の推進に必要なスキルのトレーニングや、自動化を推進できる人材の採用(約34%)」が続いた。

●Next:AIエージェントに大きな期待をかける日本企業

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