[インタビュー]

企業に“責任あるAI”を届けるためにGoogle Cloudが注力していること

グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表 平手智行氏

2025年4月7日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)

生成AIが注目すべき技術トレンドという段階を超え、企業の事業運営や競争戦略において重要な役割を担いつつある。分野専業で最大手のOpenAIや、事実標準的に処理能力を供給するNVIDIAなどと共に分野・市場を牽引するのが、ご存じグーグル(Google Cloud)だ。基盤技術からツール、エンドのアプリケーションまで幅広いサービス群を提供する同社が、これらを“エンタープライズグレード”で顧客企業に届けるにあたり、どのような戦略・方針を基にしているのか。グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の平手智行氏に根源的なことを含めて聞いた。

テック企業に加えて、国内大手企業からの支持が拡大

──平手さんはさまざまなITベンダーで要職を歴任の後、2019年11月にグーグル・クラウド・ジャパンの日本代表に就任されました。就任以前と以後で、Googleジャパンにどんな変化がありましたか。

平手智行氏写真1):5年間を振り返りますと、Gooole Cloudは元々、デジタルネイティブなテック企業に高く評価をいただいてきたクラウドベンダーです。そうした顧客の伸び率も本当に著しいのですが、それに加えて、いわゆるエンタープライズ、大手企業の導入も順調に拡大できたのがこの5年間です。

写真1:グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の平手智行氏

 私たちが支援するクラウド移行は、アプリケーションのオンプレミスな稼働基盤を、単にIaaSにリフトするだけではなく、モダナイゼーションやデータ活用を念頭に置いています。コンテナ/マイクロサービス化など必要なモダナイゼーションを施して、データの活用をもっと促進していけるようにします。

 例えば、ストアドプロシージャのルーチンが旧環境のままだとデータ分析には使えないので、マイクロサービスにする。分散したデータをデータウェアハウスやデータレイクに集積して、APIを介してさまざまなシステムで活用できるようにする。こうしたモダナイゼーションが企業の全社的なデータ活用のボトルネックを解消し、ビジネス価値を生み出せるようになります。そうした取り組みを高く評価いただき、当社としても躍進することができました。

──モダナイゼーションに取り組む企業の側も、単なるクラウド、IaaSへの移行ではなく、その先のデータ活用の高度化まで見据えているところが多いわけですね。

 はい、すでにIaaSに移行済みの企業が、それをGoogle Cloudに乗せ替えるだけでもメリットはあまり出ません。アプリケーションのモダナイゼーションがやはり前提だと思います。モダンなアプリケーションとデータ基盤があってはじめて、もっとデータを取り込もう、もっとたくさんのアプリケーションを繋げよう、このワークロードもクラウドで管理しようというモチベーションになるわけですから。最終的にあらゆるアプリケーションやワークロードがGoogle Cloudに集約されることで、共通基盤としてのメリットが最大化されるようになります。

──企業のIT責任者の認識として、デジタルネイティブな企業の場合、元々ある信頼の下、自身がその技術や製品を深く理解してグーグルを選ぶことが多いと思います。エンタープライズ企業の場合、提案や支援のしかたはやはり大きく変わってきますか?

 そうですね。日本のITの商流にも関係しますが、デジタルネイティブのお客様は社内にはエンジニアがたくさんおられるのですが、エンタープライズのお客様は、ご存じのとおり、社外のITベンダー/SIerに開発や運用の大部分を依存している場合が多いですから。

 そうしたお客様とは、経営上どんな課題があって、何をされたいかを子細にお話ししながらゴールを定め、それに向けて、アーキテクチャとデータの最善の形についてパートナーも含めて三位一体で進めています。

 その際、モダナイゼーションと言っても、全部を取り替えたらよいかというとそうではありません。例えば、勘定科目などは昔からずっと同じでもしかすると10年後も変わらないかもしれません。一方で、データの活用が経営に貢献する領域は先行事例からも明確で、データ活用の基盤づくりとしてのモダナイゼーションが急がれています。

●Next:今とこの先、企業が生成AIの活用で着目すべき4つの潮流

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