NTTデータエンジニアリングシステムズ（NDES）は2022年10月6日、クラウド型解析アプリケーション「Simulation-Space」を発表した。同年11月から提供する。NDESが構築した製造業向けアプリケーション実行基盤から、エムエスシーソフトウェア（MSC）の解析アプリケーションをクラウドライセンスで提供する。
NTTデータエンジニアリングシステムズの「Simulation-Space」は、製造業の研究・開発・設計・製造で用いる解析アプリケーションをクラウド型で提供する。NDESが構築した製造業向けアプリケーション実行基盤から、エムエスシーソフトウェア（MSC）の解析アプリケーションをクラウドライセンスで提供する（図1）。
図1：クラウド型解析アプリケーション「Simulation-Space」の概要（出典：NTTデータエンジニアリングシステムズ）拡大画像表示
MSCがラインアップしている解析アプリケーションのうち、(1)熱流体解析「Cradle CFD（scFLOW/STREAM）」、(2)汎用非線形有限要素解析「Marc」、(3)汎用構造解析「MSC Nastran｣、(4)メタルフォーミングプロセスシミュレーション「Simufact Forming」の4つをクラウド上で提供する（図2、表1）。契約時に解析アプリケーションを選ぶのではなく、すべてのアプリケーションを利用できる環境を提供する。今後、利用可能なアプリケーションを追加していく予定。
図2：「Simulation-Space」で利用可能な4つの解析アプリケーション（出典：NTTデータエンジニアリングシステムズ）拡大画像表示
特徴の1つは、モデル作成と並行して計算処理を実行できること。モデル作成の環境と計算処理の環境を分けたことで、モデル作成時に負担をかけずに計算処理を実行可能である。計算処理は同時に2本まで実行可能で、結果取得までの時間の短縮を図れる。実行中の計算状況は、解析アプリケーションを起動することなく、タブレットやスマートフォンのWebブラウザから確認可能。さらに、計算の開始/終了時はメールで通知を受けられる。
NDESは製品提供の背景として、製造業にもリモートワークなど新しい働き方が求められている中、実際にモノを作らない製品開発の推進で解析シミュレーションが必須のツールとなっていることを挙げる。一方で、高価なPC上で稼働する解析アプリケーションは、導入準備、初期投資、運用管理、維持メンテナンスなどが、企業の大きな負担となっているという。
| 熱流体解析「Cradle CFD （scFLOW/STREAM）」 | CFDシミュレーション/可視化ソフトウェア群。3次元CADとの連携や連成解析機能（構造、音響、電磁場、機構、伝熱、1D、AI/機械学習、最適化など）を搭載 |
| 汎用非線形有限要素解析「Marc」 | 静的だけでなく動的、あるいはマルチフィジックス荷重シナリオにおける製品の応答を、高精度でシミュレート |
| 汎用構造解析「MSC Nastran｣ | 強度解析、剛性解析、振動解析、非線形解析、最適化解析、疲労解析などの幅広い領域の解析に利用可能 |
| メタルフォーミングプロセスシミュレーション「Simufact Forming」 | 型・工具およびパーツを実物通りに表現することにより、プロセスを現実的に表現。金属加工の多くの領域をカバー |
