ビジネスの現場で日々起こっていることをとらえ、次に起こすべきアクションを最適化させていく──。一連の取り組みを強力に支援するデータ活用基盤の理想像を追い求め「Domo」を提供しているのがドーモだ。BIの枠を越え、データに基づいた“議論の場”を創り出すことの価値とは何かに迫る。
基幹業務システムに蓄積したデータのみならず、Webサイトのクリックストリームやソーシャルメディアの書き込み、センサーから取得する各種ログなど、企業が活用し得るデータは種類もボリュームも増加の一途をたどっている。この勢いは今後もますます加速することが見込まれ、いわゆる「ビッグデータ」をどう上手く活用するかが、今後の成長を大きく左右するとの見方が広がっている。
国内においても、Webを中核に大規模なネットビジネスを展開している企業を筆頭に、データサイエンティストなど高度なデータ解析を担う人材を育成・採用し、施策の最適化に向けて、あの手この手を講じる例も出始めた。こうした動きを見聞きすると、とかく「データ分析力=競争力」ととらえてしまいがちだが、それは早計である。
もちろんデータから気づきを得る行為は欠かせないものであり、ビジネス環境の変化に即応する「データドリブン経営」の起点となるものだ。しかし、「データを次の一手に活かす」という観点では、高度な分析テクニックよりもむしろ、データから気付いたことを関係者同士で素早く共有し、原因を追及したり、次の施策を考えてスグにアクションへ繋げたりするプロセスこそが重要なのだ。
この考えは、企業のデータ活用基盤にもそのまま当てはまる。昨今、複数のデータソースを対象に、多角度からの可視化をサポートするBI(ビジネスインテリジェンス)ツールが注目されているが、そうした機能だけでなく、分析結果を共有しコミュニケ-ションやコラボレーションを活性化させるような仕組みをどう実現するかに思いを巡らせなければならない。
こうした問題意識の下に、データに基づいたPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを組織全体で回していくことに主眼を置いた製品が登場した。米ドーモが開発・提供する「Domo」である。ドーモ日本法人でシニアソリューションコンサルタントを務める奥野和弘氏は、「ビジネスユーザーが自らの視点でデータを眺め、そこで得た気付きを他のスタッフと共有したりディスカッションしたりしながら、アクションを起こすことに重きを置いたソリューションです」と説明する。同社がDomoをBIツールではなく、あえて「ビジネス管理プラットフォーム」と位置付けているゆえんだ。
最新データをクラウドに集約
分析結果を元に関係者全員で議論
Domoは、ERPシステムや、各種のデータベース、セールスフォースなどのクラウドサービスなど様々なデータソースと接続するコネクタを提供し、ETLのような機能も併せ持つことで、必要なデータをクラウド上に集約する。ユーザーは、これらのデータに自由にアクセスし、あらかじめ用意されているグラフのテンプレートを使って、直感的な操作で素早く視覚化することができる。これによって傾向や予兆を素早く把握できるわけだ。もっとも、Domoのように利用者としてビジネスユーザーを意識したユーザー体験を提供しているかどうかは別として、ここまでの機能は他のBIツールでも既に実現されている。
ユニークなのは、視覚化したデータをソーシャル型のコミュニケーション環境に持ち込んで、組織のメンバーと議論できる機能が備わっている点だ。「従来であれば、メールの添付ファイル、あるいは電話や会議など、議論の場がデータと断絶されていましたが、Domoではシームレスに統合されており、より重要な意思決定やアクションに自然に力が注げるようになっているのです」(奥野氏)。あるデータが、一定の閾値を超えたり、一定以上の割合で変化したりしたら直ちにアラートを送ることも可能だ。一連のユーザー体験は、すべてクラウドとして提供される。
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こうしたDomoの設計思想は、どのような局面で活きてくるのか。奥野氏はこんなユースケースを挙げる。
あるスポーツクラブの経営者が、「脱会するメンバーが増えている」とのアラートをDomoから受けとったとしよう。彼はすぐさま「どんな実態で、理由は何だ?」と会員管理部長へ向けてチャットに書き込む。会員管理部長のモバイル端末に通知が飛び、彼はすぐさま、関連データを示しながらA店で解約者が急増していることを報告。続いてA店の店長は、別途、退会時に理由を記してもらったアンケートデータに照らして「トレーニング機器の古さが満足度低下を招き、退会につながったようだ」との見方を示す。あらためてマシンの導入経緯のデータを詳細に見てみたところ、事実、A店では4年以上が経過しているものが圧倒的に多かった。
ここで、会員離脱と機器の老朽化には相関関係があり、少なくとも4年以上使い続けるのはリスクが高いとの気付きを得ることになる。新規出店への投資を優先するあまり、既存店への配慮が後手に回っていたことをメンバー全員が認識。今一度、全店の機器リストを洗い出し、新しいマシンを常に一定割合で導入し続ける投資計画を練るべきだとの結論に至った──。
データ分析という観点では、先の「4年」という数字の正確性や「会員離脱という現象との相関の強さ」を議論・追求しがちであるが、Domoが重要視しているのはそこではない。データから見えてくる業績の変化や予兆といったものをとらえ、その原因は何と考えられるのか、どのような施策を講じればよりよい結果が期待できるのか、組織が一丸となって知恵を絞りながら仮説検証を繰り返すことこそが大切であり、そのプロセスを支援するものとして設計されているのだ。
現場を巻き込み問題を解決
次の行動を素早く起こせる
これまでのデータ分析シーンにおいては、専用のDWH(データウェアハウス)を構築し、機能豊富なBIツールで専門家が分析にあたるというアプローチが広く採られてきた。規定のデータセットを対象にした定形レポートの出力などでは機能しても、ちょっとした例外処理や、新しい視点での分析を試みようとした場合、担当部署(一般的にはIT部門)に逐一相談せねばならず、時間がかかったり、融通が効きにくかったりするようなケースが間々見られた。ある調査によると、CEOの70%は重要なデータにリアルタイムでアクセスできておらず、CEOの93%はデータから意味を見いだせていないという結果がでているが、こうした旧態依然としたデータ分析環境がその一因となっているという見方もできるだろう。
「こうした課題を一掃するのがDomoです」と奥野氏。Domoを使えば、現場の業務を熟知したビジネス部門のスタッフが自らの担当業務と関心に添って、KPI(重要業績指標)をチェックできるし、視点をちょっと変えてデータを見たいといった場合でも、簡単な操作で対処できる。欲しいデータを欲しい時に手に入れ、それをベースとした議論に集中できるわけだ。IT部門は、現場からの分析要求に手を煩わされることなく、そもそも会社としてハンドリングすべきデータを精査したり、その鮮度や正確性を高めるといった、より専門性の高い業務にあたることができる。
これまで見てきたメリットを高く評価し、Domoを導入する企業が増えている。国内ではヤフーや楽天、オイシックスといった企業が名を連らねる。「自らデータをごりごりと深掘りする経営者は少ないはず。問題に直面したら事情に詳しい人の話を聞いて原因をとらえ、打つべき手を早急に意思決定するのが経営者の最大のミッションだからです。データ分析という言葉に惑わされずに、そうした経営者感覚を身に付けたスタッフが多くいる企業こそがデータドリブン経営を実現できるのです。当社はDomoを通じて、その取り組みを強力に支援していきます」と奥野氏は強調する。
◆3月11日(金)開催「データマネジメント2016」において、Domoの詳細を解説するセッションがあります。具体像を知る絶好の機会ですので、ご登録(無料)の上、是非、ご参加ください。
●問い合わせ先
ドーモ株式会社
E-mail: info-jp@domo.com
URL: www.domo.com/jp