データの鳥瞰図、データアーキテクチャの重要性は認識されているのか―データマネジメントの現在地:第3回
2025年7月31日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)
デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する現代において、企業はデータに基づいた意思決定や新たな価値創造を求められている。そして今、生成AIの登場によってデータマネジメントは新たな局面を迎えている。2024年12月刊行の調査レポート『データマネジメントの実態と最新動向2025』(インプレス刊)では、データ品質やマスターデータ管理、データ連携/統合、推進体制/人材育成など、多様な観点から国内企業の取り組みの実態を明らかにした。本連載では、3回にわたって調査結果の一部を紹介し、データマネジメントの現在地を把握するとともに活動のあり方を考察する。
6割以上の企業がデータアーキテクチャを未策定も、全体としては増加傾向
デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、生成AIの急速な普及、そしてデータ保護規制の強化。今、企業を取り巻くデータ環境は、かつてないスピードで変化し続けている。こうした変化の中で多くの企業が抱える共通の課題が「データ活用」と「ガバナンス」の両立だ。
膨大なデータをどのように収集し、どこに保存し、だれがどのように利用するのか――こうした問いに明確な答えを持つことは、戦略的な意思決定や効率的な業務推進につながる。加えて、情報漏洩やデータの信頼性に対する社会的な関心の高まりも、企業のデータ管理体制に対して、より高い透明性と整合性を求めている。
そのような中、企業のデータ活用の根幹を支える重要な取り組みとして注目されているのが、データがどのように収集・保存・処理・利用されるのかといった全体像を定義し、効率的かつ安全なデータ活用を支える基盤となる「データアーキテクチャ」の策定だ。
データアーキテクチャの策定状況を問う設問では、「策定の必要性は認識しているが、現時点では着手していない」が29.1%、「着手していない」が33.6%で、合計62.7%の企業がデータアーキテクチャを策定していなかったが、前年比では4.6ポイント減少している(図1)。
一方、「策定済みで、常にアップデートしている」は10.3%、「策定済であるが、アップデートしていない」は8.5%にとどまったが、前年比ではそれぞれ4.3ポイント、3.6ポイント増加しており、データアーキテクチャを策定している企業は増加傾向にあることがわかった。

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●Next:データモデリングを実施する企業の目的と手段
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