[事例ニュース]
オムロン、PLCの設計コードを自然文の指示で生成するAIを開発
2025年12月17日(水)IT Leaders編集部、日川 佳三
オムロン(本社:京都府京都市)は、工場・設備の制御システムにおいて、制御設計者が携わるPLC(プログラマブルロジックコントローラ)のコーディング作業を自動化する「PLC向け設計コード生成AI」を開発した。設計者が自然言語で指示するだけで、必要な技術情報を検索・参照したうえでPLC用のプログラムコード(ST言語)を自動生成する。製造現場における熟練エンジニア不足の解消や、開発業務の効率化を図る。AIの開発を支援したLaboro.AI(ラボロエーアイ)が2025年12月16日に発表した。
オムロンは現在、同社の強みであるオートメーションによる価値創造に向けた長期ビジョン「Shaping the Future 2030」を掲げ、制御機器事業においては、人・産業・環境の未来を創造するための新たなオートメーションのあり方を創出する、持続可能なオートメーションの実現と、サステナブルな社会創造への貢献に向けた取り組みを進めている。
そうした中で同社は、工場・設備の制御システムにおいて、制御設計者が携わるPLC(プログラマブルロジックコントローラ)のコーディング作業を自動化する「PLC向け設計コード生成AI」を開発した。開発したAIは、PLCを構成するパーツの設計に必要なコーディングを生成AI/大規模言語モデル(LLM)で支援する仕組みを持つ(図1)。
エンジニアが仕様書などの情報を読み込み、自然言語のチャット形式で質問や指示を入力すると、AIがハードウェア情報やST言語(Structured Text:PLC設計で用いられるプログラミング言語)に関するリファレンス情報を検索し、該当する情報を抽出する。これによって従来、エンジニア自身がマニュアルや仕様書から情報を探索していた労力・時間を削減できる。
図1:制御設計者のコーディングを自動化する「PLC向け設計コード生成AI」の概要(出典:Laboro.AI)拡大画像表示
さらにAIは、抽出したリファレンス情報の内容を加味したうえで、ST言語による設計コードのサンプルを生成してエンジニアに提示する。これにより、コーディング作業自体が短縮されるほか、ユーザー企業固有の環境やハードウェア構成など、高度な専門知識が求められるPLC設計・開発において、熟練者への依存度を下げる効果が期待できる。
オーダーメイドのAI開発とAI導入コンサルティングを提供するLaboro.AI(ラボロエーアイ)が開発を支援した(関連記事:強化学習で組み合わせ最適化問題を解くシステムをオーダーメイドで構築─Laboro.AI)。同社は制御システム領域特有の課題を次のように説明している。
「PLCの開発では、設計から実装までの各所で、ユーザー企業固有の環境やハードウェア構成・仕様などの情報を参照・加味してシステムを構築できる人材が必要である。製造業ではこれら人材の確保が課題になっている」
Laboro.AIは、同社が支援したオムロンのプロジェクトは、技術者不足の状況を解決するだけにとどまらず、国内産業全体のオートメーション化の加速に貢献することを目指した取り組みとして位置づけられるとしている。
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