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“データ/AI Ready”な経営へ─住友電工の「グローバルデータ活用基盤」構築の軌跡

世界40カ国/414社をデータでつないでデータドリブン経営を加速

2025年12月15日(月)愛甲 峻(IT Leaders編集部)

住友電気工業(本社:大阪市中央区)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環で、データ活用によるプロセス改善に注力している。DXが進む中で増大するデータ量や、拠点を横断する高度なデータ分析ニーズに対し、従来のデータ分析環境が限界を迎えたことから、同社はデータ活用基盤の刷新に踏み切った。Snowflakeが2025年9月12日に開催したプライベートイベント「SNOWFLAKE WORLD TOUR TOKYO 2025」に、住友電気工業 情報システム部 情報技術部 システム技術グループ兼DX技術開発センター IoT推進部 工場IoT推進グループの西本修氏が登壇。データドリブンな意思決定に向けた基盤整備の狙いや成果を語った。

 1897(明治30)年に電線・ケーブルのメーカーとして創業した住友電気工業。祖業で培った技術を基に、現在は自動車、情報通信、エレクトロニクス、環境エネルギー、産業素材という5つの分野にまたがり、ワイヤーハーネスや光ファイバーケーブルをはじめ、多種多様な製品を世に送り出している(図1)。同社グループは世界40カ国に414社を擁し、生産拠点も各地に展開。2025年3月期の連結売上高は約4兆6797億円、連結従業員数は28万8千人を数える。

図1:5つの事業領域と製品(出典:住友電気工業)
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 住友電工は、モノづくりの源泉として掲げるスローガン「SEQCDD(シーキューシーディー)」の改善・強化を加速するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。SEQCDDは、Safety(安全)、Environment(環境)、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(デリバリー)、Development(開発)の頭文字をとった言葉である。

 2021年に策定した全社DX計画で、5つの注力領域を設定している。その1つに「データ活用によるプロセス改善の加速」がある。図2はデータ活用の全体像だ。同社では、工場で発生するモノや人、設備などのデータを、工場ごとに「モノづくりナビ」という自社開発のシステムに蓄積。売上や出荷情報などは基幹システム、マニュアルや実験ノートなどのドキュメントは文書管理システムに収集して活用している。

 取り組みを支える5つの要素を「全社DX基盤」と位置づけている。モノづくりナビはその1つで、2024年にすべての主要な工場への導入を完了。同じく構成要素の1つであるデータ活用基盤は、ダッシュボードを閲覧するだけのユーザーを含め、約3500名が利用しているという。

図2:データ活用の全体像(出典:住友電気工業)
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DXの進展で既存のデータ分析環境の限界に直面

 DXを推進する中、住友電工では、モノづくり領域を中心に扱うデータ量・種類および分析の案件が増加。大規模なデータの分析や、複数の工場をまたいだサプライチェーンの可視化など、高度なニーズも高まっていった。そこで直面したのが、従来のデータ分析環境の限界だ。

 DX推進事務局の一員で、データ活用基盤の構築や展開を担っている同社 情報システム部 情報技術部 システム技術グループ 兼 DX技術開発センター IoT推進部 工場IoT推進グループの西本修氏(写真1)は、当時の状況をこう振り返る。

写真1:住友電気工業 情報システム部 情報技術部 システム技術グループ 兼 DX技術開発センター IoT推進部 工場IoT推進グループの西本修氏

 「(従来は)必要なデータを人に聞いて探し、各システムや共有フォルダから個人のPCにダウンロードしていたため、実際に分析を開始するまでに数日を要していた。また、分析者はRやPythonのスキルを持つ一部のデータサイエンティストに限られていた」(西本氏)。分析用のデータを用意するまでの時間や、スキルの属人化がボトルネックとなり、データ活用の広がりを妨げていたという。

 そこで同社は、蓄積されたデータと活用ニーズのギャップを埋めるために、データ分析基盤の構築を検討。大量のデータを蓄積して高速に処理できることや海外拠点を念頭に、スケールアップの容易さやグローバル展開への対応などを要件に定めた。

●Next:データ活用基盤整備の狙いと効果

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