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[データマネジメントを全社的活動へ!課題とアクション]

効果への期待は高くも、取り組みは道半ば─データマネジメントの活動実態:第1回

インプレス『データマネジメントの実態と最新動向2024』より

2024年2月9日(金)愛甲 峻(IT Leaders編集部)

データをビジネス価値に変えるための継続的な活動であるデータマネジメント。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やデータドリブン経営に向けて最重要課題の1つとなっている。2023年12月刊行の調査レポート『データマネジメントの実態と最新動向2024』(インプレス刊)では、データ品質やマスターデータ管理、データ連携/統合、推進体制/人材育成など、多様な観点から国内企業の取り組みの実態を明らかにした。本連載では、3回にわたって調査結果の一部を紹介し、課題から浮かび上がるデータマネジメント活動のあり方を考察する。

 本誌の読者なら、データマネジメントの重要性については論を俟たないだろう。企業・組織がVUCAの時代にデジタルトランスフォーメーション(DX)を遂げるためには、データを基に事象を正しく認識し、意思決定・実行するデータドリブン経営の実現が必須となる。データが経営資源としてますます重要性を増す中で、データマネジメントはそこに向かう起点となる活動にほかならない。

 データマネジメントへの取り組みに期待する効果を聞いたところ、「業務の効率化・生産性の向上」が72.6%で最も高く、「意思決定の迅速化」が51.1%、「デジタルトランスフォーメーションの推進」が44.7%で続く(図1)。

 上位はいずれも、現在あらゆる企業が直面している経営課題であり、データマネジメントにその解決が期待されていることがわかる。

図1:データマネジメントに期待する効果<複数回答>(出典:インプレス『データマネジメントの実態と最新動向2024』)
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 国内企業において、データマネジメントへの期待は相当大きいことがわかった。それでは、具体的なのアクションはどこまで進んでいるのか。以下では、データマネジメントの中心的な取り組みであるマスターデータマネジメント(MDM)とデータ品質管理を例にとって見ていく。

全社レベルのMDMは2割、背景に事業部門の関与不足

 マスターデータ(ビジネスの基本となる商品、部品、取引先、社員などの元になるデータ)の一貫性を維持するMDMは、データマネジメントの中心的な施策の1つである。図2はMDMの現在の取り組み状況を問うた結果である。

 「特に共通のマスターデータはなく、システムごとに管理している」が30.8%で最多である。「その他」や「わからない」を除く6割以上の企業は、何らかの形でMDMに取り組んでいるが、理想的な状態である「主要なマスターデータを全社的に整備し利用している」企業は20.7%にとどまっている。

 なお、MDMの課題を聞いたところ、「既に多くのシステムが稼働しており、一元化や統合が現実的でない」が半数近い48.9%を占めた(図3)。以下、「MDMより優先度の高いIT関連業務が多い」が42.1%、「適切な人材がいない」が38.3%で続いている。

図2:マスターデータマネジメントの取り組み状況<単一選択>(出典:インプレス『データマネジメントの実態と最新動向2024』)
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図3:マスターデータマネジメントの課題<複数選択>(出典:インプレス『データマネジメントの実態と最新動向2024』)
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 「MDMより優先度の高いIT関連業務が多い」や「適切な人材がいない」といった上位に並ぶ課題の背景には、データマネジメントの重要性への認識の低さ、IT部門と事業部門の誤った役割分担などが考えられる。図4はマスターデータのメンテナンス・最新化を担う部門を聞いた結果だが、「主にIT部門が担当している」が最多で、「事業部門が担当」と「明確になっていない」が共に23.7%で並んでいる。

図4:マスターデータのメンテナンス・最新化を担う部門<単一選択>(出典:インプレス『データマネジメントの実態と最新動向2024』)
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 マスターデータのメンテナンスに関する責任は、本来ならば、(データ品質が競争力に直結する)商品開発や顧客の開拓などにあたる事業部門自身が持つのが望ましい。そうでない企業が多いのは、データマネジメントが長年にわたりシステム運用・保守の一種、すなわちIT部門の業務と見なされてきたためと考えられる。MDMの改善に向けては、データマネジメントをシステム運用・保守とは異なる、事業部門の責務としての主体的な取り組みを促すことが求められる。

●Next:データマネジメントの取り組みが部門レベルにとどまる理由

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