朝日新聞社(東京本社:東京都中央区)は、会計システムをオンプレミスからクラウドの「Oracle Cloud ERP」に移行した。ERPの標準機能を使いつつ、現場の業務要件に対応するため、承認申請や伝票処理などのフロント業務システムをドリーム・アーツのローコード開発ツール「SmartDB」で開発し、2025年8月から全社員約3700人で利用している。ドリーム・アーツが2025年8月19日に発表した。
朝日新聞社は、会計システムをオンプレミス環境で約10年運用、機能追加を重ねる中で複雑化と属人化が進んでいた。「業務要件に合わせたカスタマイズの影響で、製品のバージョンアップ時の影響範囲が不明確で、対応工数がかさんでいた。ソフトウェアの定期的な更新に伴う負荷も課題だった」(システム部次長の稗田洋也氏)という。
そこで、会計システムの刷新プロジェクトを始動し、オンプレミスから日本オラクルのクラウドERP「Oracle Cloud ERP」に移行している。業務をパッケージの標準機能に合わせるFit to Standardアプローチの下、標準機能を中心にした構成で保守性や拡張性を確保する。

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現場の要件を汲み取って会計システムを補完するため、ドリーム・アーツのクラウド型のローコード開発ツール「SmartDB」を用いてERPのフロント業務システムを構築した(図1)。現在は、一般会計、債務管理、債権管理、固定資産、購買申請などの周辺業務で運用を始めている。まずは会計システムの刷新を円滑に完了させ、安定運用の早期移行を目指す。
フロント業務システムについて朝日新聞社は、「年間で10万件を超える伝票を処理している。これを安定的に運用できる基盤を構築できた」と評価する。現在、会計機能と合わせて、申立稟議や申請業務の一部についてワークフロー機能の運用を始めている。