[事例ニュース]
大阪国際がんセンター、AI創薬プラットフォーム事業の研究成果として「問診生成AI」「看護音声入力生成AI」の実運用を開始
2025年10月2日(木)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(本部:大阪府大阪市)、医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBN、本部:大阪府茨木市)、日本IBMは2025年10月1日、共同研究「生成AIを活用した患者還元型・臨床指向型の循環システム(AI創薬プラットフォーム事業)」の成果として、「問診生成AI」と「看護音声入力生成AI」を同年9月より実運用を開始したと発表した。2024年8月から運用する「対話型疾患説明生成AI」に次ぐ試みとなる。
地方独立行政法人 大阪府立病院機構大阪国際がんセンターは2025年9月、がん医療に生成AIを活用する共同研究の成果として開発した「問診生成AI」と「看護音声入力生成AI」の実運用を開始した。
共同研究は、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBN)、大阪国際がんセンター、日本IBMの3組織による「生成AIを活用した患者還元型・臨床指向型の循環システム(AI創薬プラットフォーム事業)」である。今回、大阪国際がんセンターが運用を開始した2つの生成AIモデルは、2024年8月より同センターの乳腺外科で運用中の「対話型疾患説明生成AI」に次ぐ試みとなる。
なお、先行した対話型疾患説明生成AIについては、2025年10月から胃外科や大腸外科などの他科にも展開する予定。また、電子カルテの情報から医療文書に必要な項目を選んで文書を作成する「書類作成・サマリー作成」など、新たな生成AIモデルの構築を計画している。
患者の問診を生成AIが支援
「問診生成AI」では、患者がスマートフォンやタブレットなどで、AIアバターが現れるチャットアプリから日々の健康状態を入力する。副作用などで文字入力が困難な場合のために音声入力にも対応している。生成AIによるAIアバターとの会話を通じて、規定の入力項目だけでなく、追加の症状などの情報も引き出せる仕組み。医師や看護師は、入力された情報を電子カルテ端末で参照できる(画面1)。

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問診生成AIによって、がん化学療法の現場で役立つ実践的な問診が可能という。大阪国際がんセンターは同モデル/アプリを通じて、全患者を対象にこれまで紙の文書で運用していた初診時の問診票を電子化して電子カルテに連携する取り組みも始めている。問診生成AIの効果目標として、医療従事者が診察時の症状ヒアリングに要する時間を最大で25%短縮することを目指す。
●Next:記録作業に追われる看護師を助ける「看護音声入力生成AI」
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