Amazon S3互換クラウドストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」を提供するWasabi Technologies Japanは2025年11月14日、説明会を開き、直近で追加する新サービス群を発表・紹介した。国内では、同年12月からエアギャップバックアップ機能を提供する。2026年前半には、AI用途を想定した高速ストレージ「Wasabi Fire」と米デル製オンプレミス型ストレージ専用の階層型クラウドストレージ「Wasabi with Dell ObjectScale」をリリースする。
Wasabi Technologies Japanの「Wasabi Hot Cloud Storage」は、Amazon S3互換のクラウドストレージサービスである。Amazon S3よりも安価なこと、アウトバウンドトラフィック（ストレージからデータの取り出し）の料金をとらないことをアピールしている（関連記事：S3互換ストレージのWasabiが日本法人設立、1TB月額6.99ドルで「S3より80%安い」とアピール）。
写真1：Wasabi Technologies Japan 取締役社長の脇本亜紀氏拡大画像表示
現在、東京と大阪を含むグローバル16リージョン（北米6、欧州6、アジア4）でサービスを提供している。同社社長の脇本亜紀氏（写真1）は、主なユースケースとして、ランサムウェア対策のデータバックアップ、NAS/ファイルサーバーのデータオフロード（あまり使わないファイルの退避）、AIシステムのための大容量データの保管・転送を挙げた。
データを守る論理エアギャップ機能を12月に提供
今後の予定として、2025年12月に論理エアギャップ機能「Covert Copy（秘密コピー）」をリリースする。管理者アカウントでないとデータが存在していることが分からず、権限を持たばい不正プログラムなどからデータを発見できないようにする。
Wasabiはすでに、ランサムウェア対策に有効な機能として、イミュータブル（書き換え不能）設定や、3人以上の担当者が承認しなければデータを消去できないマルチユーザー認証機能を提供している。マルチユーザー認証機能の実績として、2024年にグローバル全体で80件以上のデータ消去操作をリジェクト（認証が得られずに却下）しているという。
AI用にS3 Expressを代替する高速ストレージを用意
AIにWasabiを使うニーズが高まっている。AIの学習に使う大容量データを保管・転送するコストを低く抑える需要からという。同社は、AIが要求する高速性を満たす新サービスとして、物理ストレージにNVMe接続SSDを使った「Wasabi Fire」の提供を開始した（図1）。
図1：AI用途を狙ってNVMe SSDで高速化を図ったS3互換クラウドストレージ「Wasabi Fire」の概要（出典：Wasabi Technologies Japan）拡大画像表示
サンノゼリージョンで2025年第4四半期にサービスを開始し、日本（東京リージョン）では2026年前半に提供する。価格は、通常のWasabiが1TBあたり月額6.99ドルなのに対して、Wasabi Fireは1TBあたり月額19.99ドルである。
写真2：米Wasabi Technologies エグゼクティブバイスプレジデント兼COOのマーティ・ファラロ氏拡大画像表示
Wasabi Fireの性能は検証中だが、「Amazon S3 ExpressやAzure Premiumと比べて遜色のない性能」だと、米Wasabi Technologies エグゼクティブバイスプレジデント兼COO（最高執行責任者）のマーティ・ファラロ（Marty Falaro）氏（写真2）はアピールした。
2026年前半には国内の東京リージョンで、米デル（Dell Technologies）製オンプレミス型ストレージ専用の階層型クラウドストレージ「Wasabi with Dell ObjectScale」をリリースする。スケールアウト型NASストレージ「Dell PowerScale」（旧製品名：Isilon）において使用頻度が低いデータの退避先として利用できるという。対話型の管理コンソールはなく、API経由で利用する。
●Next：東大松尾研の研究開発におけるWasabiの活用例
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