大日本塗料(本社:大阪府大阪市)は、2008年に導入したオンプレミスの「SAP ERP」をクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」で刷新した。移行を機に業務プロセスを見直し、約100本あったアドオンの約30%を削減している。システム刷新を支援したTISが2025年9月30日に発表した。
大日本塗料(DNT)は、1929年創業の三菱グループに属する総合塗料メーカー。東京スカイツリーや明石海峡大橋などに同社の塗料が使用されるなど、特に橋梁やプラントなどを長期保護する重防食塗料分野で国内トップクラスのシェアを持ち、インクや建材、自動車補修用塗料など幅広い製品を提供している。
同社は、基幹システムとしてSAPジャパンの「SAP ERP(ECC6.0)」を2008年に導入して以降、業界特有の商習慣に合わせてアドオン開発を積み重ねてきた。運用の現場では保守管理作業が複雑化していたのに加え、2027年のECC6.0の標準保守サポート終了が迫っていた。
画面1:クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」の画面例(出典:独SAP)拡大画像表示
そこで、基幹システムをクラウドに移行するプロジェクトが始動。TISの支援の下、クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud Private Edition」(画面1)を導入した。長年蓄積してきたERP資産を活用しながら、運用効率の向上やDX推進の加速などを実現する体制を構築している。
刷新プロジェクトは2022年10月に開始し、2025年1月に完了、新システムの稼働を開始した。移行にあたっては、各部門の業務プロセスをゼロベースで見直し、不要な業務の削除や手順の見直しを徹底。約100本あったアドオンの内容や利用状況を分析し、業務に不可欠な60%は移行、今後の成長に向けて必要な10%は新たに設計・開発、不要な30%は廃止している。
クラウドERPへの移行により、保守性や運用効率が向上し、ユーザーの側では経営状況の可視化などにERPデータを活用しやすくなったという。「ECC6.0の時代から将来のデータ活用を見据えて追加していたデータ項目が、S/4HANA Cloudへの移行によって取り出しやすくなった」という。
- 業務システム 2027年4月強制適用へ待ったなし、施行迫る「新リース会計基準」対応の勘所【IT Leaders特別編集版】
- 生成AI/AIエージェント 成否のカギは「データ基盤」に─生成AI時代のデータマネジメント【IT Leaders特別編集号】
- フィジカルAI AI/ロボット─Society 5.0に向けた社会実装が広がる【DIGITAL X/IT Leaders特別編集号】
- メールセキュリティ 導入のみならず運用時の“ポリシー上げ”が肝心[DMARC導入&運用の極意]【IT Leaders特別編集号】
- ゼロトラスト戦略 ランサムウェア、AI詐欺…最新脅威に抗するデジタル免疫力を![前提のゼロトラスト、不断のサイバーハイジーン]【IT Leaders特別編集号】
-
VDIの導入コストを抑制! コストコンシャスなエンタープライズクラスの仮想デスクトップ「Parallels RAS」とは
-
AI時代の“基幹インフラ”へ──NEC・NOT A HOTEL・DeNAが語るZoomを核にしたコミュニケーション変革とAI活用法
-
加速するZoomの進化、エージェント型AIでコミュニケーションの全領域を変革─「Zoom主催リアルイベント Zoomtopia On the Road Japan」レポート
-
14年ぶりに到来したチャンスをどう活かす?企業価値向上とセキュリティ強化・運用効率化をもたらす自社だけの“ドメイン”とは
-
-
-
-
生成AIからAgentic AIへ―HCLSoftware CRO Rajiv Shesh氏に聞く、企業価値創造の課題に応える「X-D-Oフレームワーク」
-
-
-
「プラグアンドゲイン・アプローチ」がプロセス変革のゲームチェンジャー。業務プロセスの持続的な改善を後押しする「SAP Signavio」
-
BPMとプロセスマイニングで継続的なプロセス改善を行う仕組みを構築、NTTデータ イントラマートがすすめる変革のアプローチ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-



