[市場動向]

生成AI/AIエージェントの次は「フィジカルAI」─菱洋エレクトロが注力するデジタルツイン基盤

来たる普及期に向けてNVIDIA、avatarinと連携

2025年12月29日(月)愛甲 峻(IT Leaders編集部)

AIががロボットや機械に搭載され、センサーで現実世界を認識して自律的に判断・行動する「フィジカルAI」が注目を集めている。菱洋エレクトロは、フィジカルAIの到来を見据え、普及期に向けた基盤整備の支援を打ち出している。同社の説明会に、協業パートナーのNVIDIAと、サービスロボット/AIを手がけるavatarin(アバターイン)のキーパーソンが登壇。フィジカルAIにおけるデジタルツインの重要性やサービス業の領域における可能性について語った。

 菱洋エレクトロが2025年8月27日に提供開始した「RYOYO AI Techmate Program for Digital Twin」。人材育成支援やパートナーマッチング、開発サポート、コンサルティングなどを提供し、企業におけるデジタルツインの導入を支援するサービスである。生成AI活用支援を目的に、2024年12月から提供している「RYOYO AI Techmate Program」を拡充したものとなる。

 同社によると、このデジタルツイン支援サービスは、生成AI、エージェンティックAIに続く新たな潮流として「フィジカルAI(Physical AI:物理AI)」の本格的な到来を見据えたものだという(図1)。フィジカルAIとは、ロボットやエッジデバイスを通じて人や環境に直接作用し、現場の人手不足や顧客体験の向上といった現実世界の課題を解決するAIを指す。

図1:AIの潮流の変遷(出典:菱洋エレクトロ)
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 菱洋エレクトロは、デジタルツインをフィジカルAIの学習に欠かせないシミュレーションや合成データ生成の基盤ととらえて取り組んでいる。従来の生成AIは学習にインターネット上の大量のデータを使えるが、フィジカルAIは学習に物理空間上のデータを必要とし、現実空間での試行だけではデータ量が圧倒的に不足する。この問題を解決するのがデジタルツインだという。

 米NVIDIA CEOのジェンスン・ファン(Jensen Huang)氏も、高性能な計算環境およびエッジデバイスと並び、デジタルツインをフィジカルAIに必須の「3つのコンピュータ」の1つに位置づけているという(図2)。

図2:フィジカルAIの基盤となる「3つのコンピュータ」(出典:菱洋エレクトロ)
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 同社 執行役員 ソリューション事業本部長の青木良行氏(写真1)は、将来的なフィジカルAIの実現を見据え、早期に基盤整備を進めることの必要性を訴えた。「生成AIの導入についても同様だが、フィジカルAIでも人材不足や理解の欠如から投資に踏み切れず、日本企業が出遅れることを危惧している」(同氏)。そこで同社は、従来のエッジデバイスやAIモデル学習環境に加えてデジタルツインをラインアップに含め、基盤構築の包括的な支援を打ち出した格好だ。

写真1:菱洋エレクトロ 執行役員 ソリューション事業本部長の青木良行氏

●Next:2、3年後にフィジカルAIの到来を見据える

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