[調査・レポート]

S/4HANAの利用率が44.1%に、半数近くがブラウンフィールド方式で移行─電通総研「SAP国内ユーザー調査2025」

第三者保守に切り替えてECC6.0を継続利用するユーザーが2割

2025年12月17日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

電通総研は2025年12月17日、SAPのERPシステムを利用する国内企業295社へのユーザー調査「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」を発表した。構成は「SAP ECC」ユーザーが55.9%、「SAP S/4HANA」ユーザーが44.1%で、S/4HANAの利用が2024年度比で5.7ポイント増えた。S/4HANAの導入・移行方法は、ECCのアプリケーションを変換して移行するストレートコンバージョン型のブラウンフィールド方式が47.6%で最多となり、新規導入を上回っている。

 電通総研は、独SAP(日本法人:SAPジャパン)のERPアプリケーションユーザーへの年次調査を2025年9月~10月に実施し、「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」として結果を発表した。

 旧バージョンである「SAP ERP Central Component(ECC)6.0」の標準サポートの終了が2027年12月31日(延長保守は2030年まで)。SAP ERP ECC6.0(ないしはそれ以前のバージョン)のユーザーにとっては、いわゆる「SAP2027年問題」と呼ばれるタイムリミットが迫る中での調査となった。

 調査対象は国内企業約1300社で、電話でのヒアリング、Webアンケート、郵送アンケートの各方法で調査している。有効回答数は295社で、内訳は、SAP ERP ECC6.0ユーザーが165社、現行バージョンである「SAP S/4HANA」ユーザーが130社である。両方を導入している企業はいずれにも加算して算出している。

 図1は、ECC6.0とS/4HANAのユーザー構成比率について、2023~2025年度の3カ年の結果を並べている。2025年度はECC6.0ユーザーが55.9%、S/4HANAユーザーが44.1%で、S/4HANAユーザーは2024年度比で5.7ポイント増えている。

図1:「SAP S/4HANA」の利用状況(出典:電通総研「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」)
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 ECC6.0ユーザーが回答時点で想定する、S/4HANAへの移行方法は2023年度および2024年度と同様、コンバージョン型(システムとデータの変換・移行)が最多で31.5%を占めた。

 また、SAPの純正サポートから、第三者保守サービスに移管してECC6.0を継続利用するユーザーは20.4%となった(図2)。

図2:「SAP S/4HANA」への想定移行方式(出典:電通総研「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」)
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 S/4HANAへの導入・移行方式は、ECCから、アプリケーションをそのまま変換して移行するストレートコンバージョン型のブラウンフィールド方式で移行したユーザーが47.6%と最多で、S/4HANAを新規導入したユーザー(34.9%)を上回っている(図3)。

図3:「SAP S/4HANA」への移行方式(出典:電通総研「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」)
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●Next:移行後の稼働環境は「S/4HANA Cloud」が4割に

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S/4HANAの利用率が44.1%に、半数近くがブラウンフィールド方式で移行─電通総研「SAP国内ユーザー調査2025」電通総研は2025年12月17日、SAPのERPシステムを利用する国内企業295社へのユーザー調査「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」を発表した。構成は「SAP ECC」ユーザーが55.9%、「SAP S/4HANA」ユーザーが44.1%で、S/4HANAの利用が2024年度比で5.7ポイント増えた。S/4HANAの導入・移行方法は、ECCのアプリケーションを変換して移行するストレートコンバージョン型のブラウンフィールド方式が47.6%で最多となり、新規導入を上回っている。

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