富士フイルム(本社:東京都港区)は、デジタルカメラのアフターパーツ在庫を管理するため、AI需要予測ツールを導入する。NECと共同で実施した6カ月間の実証実験では、適正在庫と判定した部品の種類が従来手法の2.7倍に増え、在庫の過不足を削減できることを確認した。今後、本番導入に向けた検討を進める。
富士フイルムは、デジタルカメラのアフターパーツ約1800種類を対象に、在庫量の適正化に向けて、AIを用いた需要予測に取り組む。
「メーカーでは、製品の製造が終了した後も一定期間アフターパーツを供給する。在庫が多過ぎるとコストがかさむし、在庫が切れても金型再製作や代替部品探索などにコスト、そして時間がかかる。需要予測の精度を高めることが、収益性と顧客満足度につながる」(富士フイルム)
需要予測ツールをNECが開発する。AI技術に加え、データ分析やSCM(サプライチェーン管理)、S&OP(Sales and Operations Planning:生産・販売・在庫の統合計画)領域の知見を基にする(図1)。

同社は在庫状況を「枯渇(在庫不足)」「適正」「過多(在庫過剰)」の3段階で評価している。2024年12月~2025年5月末に実施した検証では、AI需要予測により、適正に分類される部品が従来比で2.7倍になったという。在庫の過不足を削減できることを確認したことで、今後、本番導入に向けた検討を進める。