[市場動向]
スパコン性能ランキングTOP500の2025年6月版、El Capitanがトップを堅持、富岳は7位
2025年6月11日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
スーパーコンピュータ性能ランキングのTOP500は2025年6月10日、ランキング最新版(2025年6月版)を公開した。1位は前回に続き米ローレンス・リバモア国立研究所とHPEの「El Capitan」(1.742EFLOPS)だった。トップ10で唯一の新しいシステムは4位の「JUPITER」(独ユーリッヒスーパーコンピューティングセンター)で、残り9システムの順番とベンチマーク値は前回と同じである。理化学研究所と富士通の「富岳」は7位で、前回から順位を1つ下げている。
スーパーコンピュータ性能ランキングのTOP500(www.top500.org)は、ランキング最新版として2025年6月版(2025年6月10日発表)を公開した(画面1)。
1位は前回(2024年11月版)に続いて米ローレンス・リバモア国立研究所と米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の「El Capitan」。CPUにAMD EPYC、GPUにAMD Instinct MI300Aを用いて構成したシステムで、ベンチマーク値は1742PFLOPS(ペタフロップス、毎秒174京2000兆回)を記録した。
トップ10で唯一の新しいシステムは、独ユーリヒ・スーパーコンピューティング・センター「JUPITER」で4位につけている。NVIDIAのCPU/GPU混在チップ「GH200 Superchip」で好結果を収めた。残りの9システムの順番とベンチマーク値は前回と同じだった。理化学研究所と富士通の「富岳」は7位で、前回から順位を1つ下げている。

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El Capitanは実際のワークロードに近いHPCGでも1位に
El CapitanのTOP500リスト登場は前回が初めてで、実際のアプリケーションでよく使う共役勾配法の処理速度ランキング「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」についてはデータを提出していなかった。今回、HPCGリストに初提出し、ベンチマーク値17.40PFLOPSでこちらでも1位になった。伴って、HPCGで前回1位だった富岳が2位に後退している(図2)。

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TOP500リストのLINPACK性能を消費電力で割り、1ワットあたり性能を比較したGreen500リストも最新版が公開された。1位は独ユーリヒ総合研究機構の「JEDI」で前回と同じ。ベンチマーク結果も変わらず1ワットあたり72.733GFLOPS(毎秒727.33億回)である。日本のトップはGMOインターネットの「GMO GPUクラウド」で、53.807GFLOPSで34位に入った。
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