[事例ニュース]

食品スーパーのハローデイ、需要予測・自動発注システムで残業時間が1割減

自動発注率は90%以上、欠品率は6.99%減

2025年12月10日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

食品スーパーマーケットチェーン運営のハローデイ(本社:福岡県北九州市)は2025年12月10日、AIを活用した需要予測・自動発注システムを運用開始したと発表した。日立製作所の「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注システム」を導入し、全49店舗・全フロアにおいて残業時間を前年比で7.9%削減した。また、発注業務の標準化によって人時生産性が8.4%向上した。

 ハローデイは、福岡県を中心に熊本県・山口県で食品スーパーマーケット「ハローデイ」(写真1)や「ボンラパス」を展開している。ハローデイの店舗展開の特徴として、「アミューズメントフードホール」と呼ぶ理念の下、売場のレイアウトや商品配置、陳列方法を均一化せず、店舗ごとにコンセプトを決めて、ディスプレイの工夫を凝らしている。

写真1:食品スーパーマーケット「ハローデイ」の店舗(出典:ハローデイ、日立製作所、日立ソリューションズ西日本)
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 今回、日立製作所、日立ソリューションズ西日本の支援を得て、各店舗の個別事情に合わせた発注ロジックを自動で調整可能な発注システムとして、日立のアプリケーションパッケージ「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注システム」を導入。2024年1月に5店舗で先行導入し、検証・開発を経て、2025年6月にハローデイ全店で運用を開始した(図1)。

図1:需要予測・自動発注システムの概要と全体構想(出典:ハローデイ、日立製作所、日立ソリューションズ西日本)
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 同システムをデイリー商品(日配品)、グロサリー商品(加工食品、菓子、雑貨、酒)、冷凍食品に適用している。アイテム数は1店舗あたり平均7000種に及ぶ。各店舗の売場スペースや商品配置の違い、取引先ごとの注文ロット・納品条件などを考慮し、個別に発注ロジックを自動調整する。

 店舗ごとの需要予測にあたっては、過去の販売実績に加えて、天候・曜日・イベントなどの外部要因を学習して利用する。また、実際の販売データを全店舗のデータベースに蓄積し、次回の需要予測にフィードバックする。毎日更新するデータを活用し、予測と提案を繰り返すことで精度を継続的に向上させる。

 導入効果として、ハローデイの全49店舗・全フロアにおける1カ月間の総労働時間が、前年比(2025年8月と2024年8月の単月比較)で6837時間減り、残業時間は7.9%減った。発注業務の標準化により、労働時間に対する粗利比率は8.4%向上した。

 自動発注率(発注提案数通りに発注数を確定させたアイテムの比率)は90%以上を達成。欠品率は前年比(2024年9月2日時点と2025年9月2日時点の比較)で6.99%減少した。発注担当者からは「心配性発注(過剰発注)が減った」との報告があったという。

 ハローデイは今後、ボンラパス6店舗への展開を予定している。また、生成AIを活用した発注予測精度の向上や、業務に関するQ&Aのチャットボットなど、業務全体の自動化を目指す。こうして収集したデータを活用し、さらなる効率化や業務ノウハウ(暗黙知)の見える化を実現し、業務スキルの平準化・高度化に取り組む。

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