インテルは2025年8月18日、ユーザー調査レポート「AI PCグローバルレポート」を発表した。AI PCの理解度(認知度)を尋ねたところ、AI PCの国内ユーザーの理解度は52%で、世界(86%)と34ポイントの大きな開きがあった。AI PC導入の最も高い障壁は初期コスト(44%)と運用コスト(44%)で、77%はAI PCのために追加投資が可能だと回答している。
米インテルは2025年5月、AIおよび「AI PC」に関するユーザー調査を日本を含む全23の国と地域に在住の5050人のビジネスパーソンを対象に実施した。その結果を「AI PCグローバルレポート」にまとめている。
AI PCはインテルが提唱するPC仕様で、CPUとGPUに加えて、AI処理に特化したNPU(Neural Processing Unit)を搭載していることが要件となっている。AI処理を高速かつ省電力で実行できる性能を備え、ビジネスパーソンの生産性やセキュリティ性能の向上に寄与するとしている。
インテル日本法人は、調査結果の主なトピックとして以下を挙げている。
- AI PCの理解度は、世界が85%、日本が52%
- 日本におけるAI PCの導入障壁は初期コスト(44%)と運用コスト(44%)だが、77%は従来PCとの比較で追加投資が可能
- 日本においてAI PCの可能性を理解するために役立つ情報やリソースは「AI PCのトレーニング」(52%)と「費用便益分析」(52%)
国内ユーザーのAI PC理解度は52%、世界平均と34ポイント差
調査ではまず、AI PCへの理解度を聞いた(図1)。世界全体の85%、日本の52%が「よく理解している」もしくは「理解している」と回答し、34ポイントの差があった。AI PC導入の検討状況については、全体の87%が「AI PCへの移行を進めている」もしくは「導入を計画している」と回答し、日本は65%と、22ポイントの差があった。

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図2は、従業員がAIを効果的に活用し、課題やリスクを理解するためにどのような取り組みを行っているかを聞いた結果である。日本では、「従業員が職場でAIツールを試すことを推奨している」と「AI機能を備えたツールに関する継続的なトレーニングを実施している」の回答が、ともに31%を占めた。また、「従業員がAIを効果的に活用するための積極的な取り組みは行っていない」(24%)と「従業員が職場でAIを使用することを推奨しない」(7%)との回答も合わせて31%を占めた。

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日本におけるAI PC導入の障壁は「コスト」
自社でAI PCを導入する際の障壁を3つ挙げてもらった(図3)。世界では「セキュリティ上の懸念」(33%)が最も高かった。日本でも「セキュリティ上の懸念」への関心は37%と世界の傾向より高いものの、最も高い障壁は「初期コスト」(44%)と「運用コスト」(44%)だった。AI PC導入にあたっての技術的およびセキュリティ上の懸念を聞くと、世界の49%、日本の68%が「データ漏洩」を選び、他国と比べ最も日本がデータ漏洩を懸念していることがわかる。

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日本はAI PC導入時にコストを重視しているが、AI PCを導入する際に、従来のPCと比べて1台あたりどの程度追加で支払うことができるかを聞いた(図4)。77%が追加で支払えると回答した。

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世界で実際にAI PCを活用している人に、AI PCの導入にあたってのチャレンジを聞いた(図5)。「追加のトレーニングの必要性」(34%)が最も高かった。懸念材料として最も高かった「セキュリティの問題」は、23%だった。さらに、3人に1人(33%)が「特になし」と回答し、導入の際の懸念は実際に活用してみると、そこまで大きな問題とはなっていない。

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