[事例ニュース]
みずほ証券、顧客対応のチャットボットをベクトル検索型で刷新、FAQの検索精度向上と回答の厳密性を両立
2026年1月6日(火)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
みずほ証券は2025年12月26日、顧客からの問い合わせ対応のチャットボットに、モビルスのベクトル検索型チャットボット「MOBI BOT AI Vector Search」を導入し、運用を開始した。従来のキーワード一致型では対応が難しかった曖昧な表現や表記ゆれに対し、AIが文脈を理解して適切なFAQを提示できるようにした。金融機関に求められる厳格な情報提供基準を維持するため、回答生成ではなく、登録済みFAQから根拠のある回答を検索・提示する仕組みを採用している。モビルスが2026年1月6日に発表した。
みずほ証券は、コンタクトセンター業務の効率化を通じて、顧客体験(CX)および顧客と従業員双方の利便性・満足度の向上に取り組んでいる。コンタクトセンターでは、月間約15万件の問い合わせに対応しており、メール、有人チャット、マシンラーニング(機械学習)ベースのチャットボットなど、電話以外のノンボイスチャネルの活用を進めてきた。
しかし、これまで運用してきたチャットボットは、24時間365日の自動応答を可能にしてきたものの、顧客が入力した単語と登録されたキーワードが完全一致しないと回答できないケースが多発していた。
例えば、「プランを変更したい」という顧客の入力に対し、FAQのキーワードが「契約変更」や「プラン確認」で登録されている場合、意図は同じでもキーワード不一致により回答不能となり、結果としてオペレーターへの有人問い合わせに流れてしまう課題があった。オペレーターによるフォローで品質を維持してきたが、同義語・表記ゆれを吸収したデータの整備などの運用面でも業務負荷がかかっていたという。
一方、ここ数年で普及が進む生成AIを活用したチャットボットは、自然な対話が可能である反面、事実に基づかない回答を生成するハルシネーション(もっともらしい嘘)のリスクがある。みずほ証券は、「金融商品の説明や法規制に関わる厳格な対応が求められる証券業務において、誤った情報の提示は許されないため、生成AIの全面的な導入には慎重な対策が必要」(同社)というスタンスで製品の選定にあたった。
画面1:「MOBI BOT AI Vector Search」でチャットボットを刷新した、みずほ証券の問い合わせページ(出典:モビルス)拡大画像表示
検討の末、みずほ証券は、金融機関として顧客に確実な回答を提示可能なシステムとして、モビルスのベクトル検索型チャットボット「MOBI BOT AI Vector Search」(画面1)を採用し、問い合わせページのチャットボットを刷新した。テキストを数値のベクトル(向きと大きさを持つ量)に変換し、意味的に類似した情報を検索するベクトル検索技術を評価したうえ、1カ月間のテスト運用では、高い検索精度でFAQから正確に回答を提示できることを確認、採用に至ったという。
MOBI BOT AI Vector Searchは、顧客が曖昧な言葉で質問した場合でも、AIがその意味や意図を汲み取り、最も距離(意味)が近いFAQを候補として提示することができる。上述のプラン変更の例であれば、ベクトル検索によって「契約変更」や「解約・休止」などの関連FAQを自動的に関連づけて、回答候補として提示する(図1)。
図1:チャットボットにおける、キーワード検索型とベクトル検索型の違い(出典:モビルス)拡大画像表示
●Next:ベクトル検索型チャットボットがもたらす効果
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