デジタルの力でビジネスを進化させる「デジタルトランスフォーメーション(変革)」への取り組みが本格化する中で、注目が高まっている技術分野に「API管理」がある。Red Hatは、API管理ソリューションを提供する米3scaleを買収し、クラウド基盤やコンテナ技術に並ぶ重要技術として「Red Hat 3scale API Management Platform」を2017年1月27日から日本国内でも正式に提供を開始した。なぜAPI管理がデジタル変革に必要なのか。旧3scaleの創業者で、Red HatにおけるAPIインフラストラクチャのシニアディレクター&ヘッドに就いたスティーブン・ウィルモット氏が、その理由と成功に向けた取り組みなどについて語る。
オランダのスキポール空港では、APIを活用することで旅行客への情報提供と並行し、空港業務の改善が図られている。ウィルモット氏によれば「空港内では様々なデータが発生しています。飛行機の到着時間や到着ゲート、荷物が出てくるベルトコンベアの番号などなどです。これらをAPIで公開することで、発着便の変更などが発生しても『新しいゲートまで徒歩で○○分かかります』『あと△△分で荷物が到着します』といった情報を旅行者のスマホに提供できるほか、航空会社やメンテナンス/清掃会社などにも提供することで数々の変更に柔軟に対応できる仕組みを築き上げているのです」。
ほかには、ビルでの温度や明るさといったセンサーデータと空調や照明の制御情報や、気象予測データなど、様々な企業が様々なデータをAPIとして提供している。これらの先行企業がAPIを経由して公開した情報を私たちは既に利用しており、そのAPIエコノミーの中に存在していることになる。逆にみれば、APIエコノミーに参画できない企業は、顧客やパートナーとの接点をみすみす逃していると言える。
モバイル環境の広がりがAPIの活用をうながす
エンタープライズITの領域で、API利用に大きな変化をもたらした要因の1つがモバイル環境の広がりであり、それに伴うスマートフォン用アプリケーションの重要性の高まりである。スマホ用アプリは今では“顧客接点(タッチポイント)”獲得における最重要要素であり、そこに企業のメッセージをどれだけ届けられるかが競争点にもなっている。自社内でのモバイル環境の整備だけでもセキュリティ面の課題が急増する中で、パートナー企業や一般の顧客にまで接続を許すとなれば、より厳重なセキュリティの確保は不可欠だ。
「技術的には、APIを使わなくてもバックエンドのシステムにアクセスし、必要なデータを外部に公開することは可能です。しかし、誰が、どのデータに、どんな経路からアクセスしたのかをしっかりと把握し、アクセスコントロールができなければ必要なセキュリティは確保できません。API管理があれば、企業のデータガバナンス(統治)を十分に確保しながらも、必要なデータを適切な相手に届けられます」とウィルモット氏は説明する。
加えて、システム的な環境変更にも柔軟に対応できる。ウィルモット氏は、「APIを使わずに、iOSやAndroid、Windowsなどスマホの基本ソフト(OS)の別にアプリケーションを開発していては、とても利用者が求めるスピードに対応できません。しかも、それらOSがバージョンアップするたびにアプリケーションが正常に機能しなくなるリスクもあります。バックエンド側でデータベースの構成などを変更した場合でも、その差異をAPIなら吸収できるのです」と強調する。
API管理が事業部門によるAPI開発を可能にする

では企業は今後、デジタルトランスフォーメーションに向けたAPI管理をどのように推進するべきだろうか。先行している企業では誰がAPI管理のリーダーシップをとっているか。この点に対しウィルモット氏は、「よくあるのは社内に少数のAPI専任チームを立ち上げ、彼らにAPIの開発から管理までを任せるパターンです。これは根本的な間違いで、失敗に陥る最大の原因となります」と指摘する。
「新しいベンチャー企業などでは人員的に仕方ないかもしれませんが、一般的な企業では公開したいAPIの数も徐々に拡大していくはずです。そのため、APIの開発は、ビジネスを拡大したい事業部門が主導権を持って取り組むべきなのです。API管理は、それを手軽でセキュアに提供するためのプラットフォームです。IT部門などがAPI管理の仕組みを構築し、事業部門に対しAPI開発に必要なノウハウや方法論、各種ツールを利用するうえでのサポートなどを提供していくのが理想的です」
企業を取り巻く環境はますます変化の速度を高めており、競争力を左右する差異化要因としてのソフトウェアの比重が増している。よりビジネスの付加価値につながるソフトウェアを開発し運用するためには、「ソフトウェア開発の文化そのものを変える必要があります。アジリティを高めながら、セキュリティの確保やガバナンスの強化などを同時に実現するためには、APIとAPI管理が重要な役割を担っていくことになります」とウィルモット氏は強調する。
そのうえでウィルモット氏は、「Red Hatと3scaleが一体になったことで、API管理と組み合わせたRed Hat Enterprise Linux(RHEL)やJBoss Middleware、Red Hat Mobile Application Platform、Red Hat OpenShift Container Platformなどのプラットフォーム(基盤)を包括的に提供できるようになりました。この仕組みは、継続的なIT投資によりバックエンドに管理しているデータの価値を最大化し、企業価値を高めていくのです。ぜひAPIとAPI管理の価値を理解し、新しいビジネスに活かしていただきたい」と日本企業のデジタルトランスフォーメーションに向けたエールを送る。
●お問い合わせ先
レッドハット株式会社
https://www.redhat.com/ja/global/japan
セールスオペレーションセンター(SOC)
TEL:0120-266-086 (携帯電話からは03-5798-8510)
E mail: sales-jp@redhat.com
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