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AI活用でプロアクティブな対応に磨きをかけ、顧客システムの“安定性と安全性”にフルコミット
2017年5月22日(月)
Red Hatのビジネスの根幹を支えているのがサブスクリプション契約をベースとしたサポートやサービスの提供であり、ユーザーとRed Hatの継続的な関係性を通じてオープンソースソリューションの価値を最大化させることを目指している。カスタマーエクスペリエンス&エンゲージメント部門を統括するマルコ ビル-ピーター氏の指揮の下、Red Hatはサポートの役割を受け身の対応にとどめず、より戦略的なレベルへと高めることに余念がない。
Red Hatが提供するサポートやサービスは
オプションではなく“製品”そのもの
周知の通りRed Hatは、Linux OSをはじめOpenStack、JBoss、OpenShiftなど、エンタープライズシステムの基盤となるOSS(オープンソースソフトウェア)のディストリビューションと共に、さまざまなサポートやサービスをサブスクリプション形式で提供することをビジネスモデルとしている。
このRed Hatのビジネスの根幹を担っているのが、カスタマーエクスペリエンス&エンゲージメント部門(CEE)だ。同部門を統括する副社長のマルコ ビル-ピーター氏は、「Red Hatにとってサブスクリプション契約で提供しているサポートやサービスはオプションではなく、まさに“製品”そのものです。それを象徴するようにCEEはプロダクト&テクノロジーズという組織の中に位置づけられており、お客様やパートナーがRed Hatとの関係を通じて受け取る価値を最大化させることをミッションとしています」と語る。
具体的にRed Hatが、サブスクリプションモデルを通じて提供しているカスタマーエクスペリエンスとはいかなるものか――。OSSを“素”のままで使う場合に対する差別化要素としてビル-ピーター氏が挙げるのが、「安定稼働が保証され、セキュリティも担保されたIT環境の実現」「ライフサイクルを通じた無制限のアップグレード」「Red Hatが蓄積してきた専門的なナレッジの提供」「業界最先端のヘルプ機能」の4つのポイントである。
これらのすべてのサービスがサブスクリプション契約者向けのカスタマーポータルに集約され、一元的に提供されているのである。
他ベンダーにはないユニークな体験を
カスターポータルに実装して提供する
同カスタマーポータルは2011年に開設して以来、6年連続でサポートプロフェッショナル協会(The Association of Support Professionals)による「The Year’s Ten Best Web Support Sites」のアワードを受賞するなど、Red Hatの並々ならぬ意欲を見て取れる。この背景にあるのが、「他ベンダーにはないユニークな体験を、カスターポータルに実装して提供していく」(ビル-ピーター氏)という考え方なのである。
多岐にわたる課題をユーザー自身が自己解決できるサービスの自動化を追求しており、特に近年注力しているのがAI(人工知能)の活用だ。システム設定やアップグレードに関するヘルプ、セキュリティ監査、発生した問題の診断、パフォーマンス分析など、100種類を超えるツールやナレッジをカスタマーポータルから提供している「Red Hat Access Labs」と呼ばれるライブラリの強化もその一環だ。
例えば今年の1月1日、午前8時59分59秒と午前9時00分00秒の間に8時59分60秒の「うるう秒」が挿入されたのが記憶に新しい。これが自社のIT環境にどんな影響を及ぼすのか。ユーザーはAIを活用したRed Hat Access Labsのツールを使って、起こり得る問題を事前に確認することができた。
これをさらに便利にしたのが「Red Hat Access Recommendations」で、カスタマーポータルを通じて問題の解決策を提案する。例えば先の「うるう秒」といったキーワードをカスタマーポータルに入力すると、AIがユーザーの意図を認識し、その問題に該当するコンテンツを提示するとともに、IT環境を分析するために適したツールが推奨される。
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また、プロアクティブなシステム分析を行う「Red Hat Insights」にもAIのテクノロジーが用いられているという。「Red Hat Insightsはエージェント機能を通じてお客様のIT環境のデータを一定間隔(デフォルトでは1日1回)で収集しており、ディープラーニングの手法で学習を重ねたAIが今の稼働状況を瞬時に判断します。そして何らかの異常な兆候を検知した場合、その問題が及ぼす影響範囲や重要度を説明するとともに関連するナレッジを含むレポートを作成し、早急にとるべき対策を提示します。これにより問題が表面化する前に、被害の拡大を未然に防ぐことができるのです」とビル-ピーター氏は説明する。
Red HatはこうしたAI機能のさらなる強化を進めていく意向だ。「近い将来にお客様から寄せられる問い合わせの50%以上に自動対応できるレベルまでディープラーニングの精度を高め、問題解決のスピードアップと利便性向上を図っていきます」とビル-ピーター氏は今後に向けた構想を示す。
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