SRA OSSは2025年6月27日、PostgreSQL互換のRDBMS「PowerGres V17」を提供開始した。新版では、PostgreSQLの拡張機能によってベクトルデータを扱えるようにした。生成AIやマシンラーニングなどAI用途に向く。また、監査機能「pgAudit」の追加、バックアップ処理の高速化やレプリケーション機能の強化などが施されている。「PowerGres on Windows」と「PowerGres on Linux」の2製品を提供する。
SRA OSSの「PowerGres」は、オープンソースのRDBMS（リレーショナルデータベース管理システム）のPostgreSQLをベースにした製品ファミリーである。同社が商用製品として構成した各エディションを提供している。
PostgreSQLとの違いは、SRA OSSのサポートサービスが付属することと、レプリケーションやHA（高可用性）構成など、企業利用で求められる機能をパッケージにしていること。累積で1万7000本以上の出荷実績があるという（関連記事：信頼性と暗号化を強化したRDBMS新版「PowerGres Plus V10」、PostgreSQL 10ベースに／SRA OSS、商用RDBMS「PowerGres V9.6」をリリース、パラレルクエリやUPSERTなどを強化）。
新版のPowerGres V17では、PostgreSQLの拡張機能「pgvector」によって、ベクトルデータを扱えるようにした。生成AIやマシンラーニング（機械学習）などの用途に向く。Linux版では、pgvectorを高性能化する「pgvectorscale」も提供する。
pgvectorにより、データベース内にベクトルデータを格納し、特定のベクトルと最も近い要素を検索できる。近似値の算出方法として、ユークリッド距離、内積、コサイン距離による距離の計算を利用する。大規模なデータセットでの検索を高速化するインデックス機能も持つ。
新版ではまた、監査機能「pgAudit」が加わった。システム操作の履歴を自動的に記録し、追跡が可能になる。不正アクセスや誤操作の検知、内部統制の強化に役立つ。このほか、バックアップ処理の高速化やレプリケーション機能の強化などが施されている（図1）。
図1：「PowerGres V17」の新機能（出典：SRA OSS）拡大画像表示
「PowerGres on Linux V17」と「PowerGres on Windows V17」の2製品を提供する。価格（税込み）はいずれも5万9400円で、契約が必須のサポートサービス料は年額9万6800円となっている。
