CIOやITマネジャーなどITリーダーにとって、抑えておくべき情報の1つがICTに関わる市場動向。野村総合研究所は、各種デバイスやネットワーク、プラットフォームに関する2018年までの市場予測を公表した。いくつかのデータを紹介しよう(詳細は「ITナビゲータ2014年版」(東洋経済新報社刊)を参照)。
まず急成長が見込まれるM2M(Machine to Machine)市場(図1)。2013年の規模は2377億円、年率30%~50%近くの成長を示し、2018年には1兆円規模になると予測する。分野別の内訳を見ると、牽引役となるのはスマートメーターなどエネルギー関連。監視機器などのセキュリティ、流通(物流)、自動車という順番だ。建設物や工場における設備監視は「その他」に分類されており、2018年でも2000億円弱と意外に小さい。
次に3Dプリンタの利用者数(図2)。これまでの3Dプリンタの利用者は製造業において試作品などの製造に関わる人で、2012年は約8万人だった。今後、一般消費者向けが急速に立ち上がり、「2018年には約85万人に達する」と予測する。85万人を多いとみるか、少ないとみるか、難しいところだが、3Dデータの流通状況や費用次第で大きく上振れする可能性もあるだろう。
B2CのEC市場、つまり一般消費者向けのEC市場規模は、2012年の10.2兆円から2018年には20.8兆円へと倍増する(図3)。NRIは「店舗で商品を確認・試用し、ECで購入するショールーミングが2012年度には20%を超え、これからも拡大する」、「ECの出店コストの低下に伴い、中小企業によるECが活性化し、オムニチャネル化も進む」などとみている。
EC市場の伸びに応じて進むと見られるのが、現金から、いわゆるスマートペイメントへのシフトだ(図4)。EC市場の伸びほどではないが順調に拡大し、2018年には60兆円を超える。主流は一貫してクレジットカード。ただし徐々にプリペイドカードの比率が高まると予測している。
この背景には、スマートデバイスの普及がある(図5)。契約数は2013年にスマートフォンがフィーチャーフォンを上回った。普及率の面でも2014年にスマートフォンが6割近くとフィーチャーフォンを逆転し、2018年には8割近くになる。
しかし、スマートデバイスの1種であるウェアラブル端末の普及に対しては、慎重な見方だ(図6)。NRIは「腕時計型でスマートフォンの情報を捧持する端末や、ヘルスケアデバイスが市場を牽引する」と予測するが、2014年に63万台、2018年でも475万台と、数の上ではスマートフォンに比べるべくもない。正直、先のことは「当たるも八卦~」。読者の感覚と合致しているだろうか?