[市場動向]

日立と東大、グラフデータ検索を高速化する「動的プルーニング技術」を開発、再帰問い合わせを効率化

製造業の製品出荷判定が135倍高速に、トレーサビリティが向上

2025年6月19日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日立製作所と東京大学は2025年6月19日、グラフデータの検索速度を高める「動的プルーニング技術」を開発したと発表した。データベース内でグラフデータを検索する際の再帰問い合わせ処理を効率化する仕組み。製造業の製品出荷判定での検証では、従来比で最大135倍の高速化を実現した。同技術により、製造業のトレーサビリティ向上や医療・金融分野でのデータ活用促進を図る。

 日立製作所と東京大学は、グラフデータの検索速度を高める「動的プルーニング(Dynamic Pruning、注1)」技術を開発した。製造業の製品出荷判定での検証では、データ検索速度を従来比で最大135倍向上できることを確認した。同技術により、製造業のトレーサビリティなどが向上するとしている(図1)。

注1:Pruningは、剪定(せんてい)、刈り取り、(不要なものを)除去の意味

図1:開発した「動的プルーニング技術」をトレーサビリティの問い合わせに適用した例(出典:日立製作所、東京大学)
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 両組織によると、グラフデータは、交通経路検索やECの商品推薦システムをはじめ、製品の品質管理、医療データ分析、不正アクセス検知など広範な分野で企業が活用しているが、データ量の増大と共に処理速度の低下が課題となっていたという。

 今回開発した動的プルーニング技術は、データベース内でグラフデータを順次たどる際の再帰的な問い合わせ処理を効率化する。再帰問い合わせの処理中に得られる中間結果を基に、次に読み取るデータの範囲をリアルタイムに見積もる。これにより、不要なデータを繰り返し読み取る必要がなくなり、検索速度が向上する(図2)。

図2:再帰問い合わせ処理におけるデータの読み取り範囲とデータ検索時間の比較(出典:日立製作所、東京大学)
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 日立は、同技術を自社の超高速データベースエンジン「Hitachi Advanced Data Binder(HADB)」に組み込んで提供を開始している。同社は今後、製造業に加えて、社会保障分野(診療パターン分析による疾病リスク予測)や金融分野(不正アクセス検出)などへの適用を目指す(関連記事日立、高速データベース「HADB」に新版、IoTデータの分析を効率化)。

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