IT市場調査会社のIDC Japanは2014年8月11日、同年5月に実施したビジネス市場におけるタブレットの利用実態調査について調査・分析結果の概要を発表した。
今回のタブレット利用実態調査は2014年5月、Webによるアンケートで実施。1次調査で1万5,618の回答を得たのち、2次調査ではタブレットの導入企業/未導入の動向を把握する目的にIT管理者を主対象に実施。1000社から回答を得たという。
調査の結果、国内企業においてタブレットは、回答企業中14.8%の企業に導入されていることがわかった。企業規模で見ると、導入が活発なのは従業員が少ない中堅中小企業であるという。この結果について、IDCでは、「タブレットなどのIT機器を新たに導入する場合、組織が小さいことから意思決定が早く、比較的早い段階で導入が進められることが多い傾向にある」からとしている。
同調査の結果を基に推計を行うと、現在、タブレットを検討している企業は約276万社に上り、これは国内の70.9%の企業(公共/公益、政府自治体、教育を除く)が導入の検討段階にあると推定されるという。
調査では産業分野別の傾向が浮き彫りになった。IDCでは、「従業員規模や業務アプリケーションのWeb化へのシフト状況を考慮し、タブレット導入に対し有望な産業分野は、サービス、製造、流通/小売である」とみている。
一方、製造は現在のところ、他の産業分野に比べてタブレットの導入が遅れていることが判明した。IDCは、製造は今後、タブレットの導入検討が進む産業分野であるとし、その理由として、1企業あたりの従業員が多いことや、自社サーバー経由でのWeb系アプリケーション導入率が高いこと、業務アプリケーションをタブレットで利用する場合でもプログラム修正を社内で行うことが比較的容易な環境を持つ企業が多いことを挙げている。
調査では、タブレットを導入済みの企業に、今後、タブレットを増設する際の機種やベンダーについても尋ねている。その結果、70.0%の企業は、導入されているOS搭載のタブレットと同様の製品を今後も導入することが判明した。
分析を担当した、IDC JapanのPC/携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト、浅野浩寿氏は、「企業でのタブレット導入はこれまで、プレゼンテーション/商品説明などの用途が中心であった。だが本調査の結果から、今後はWindowsタブレットを中心に基幹システムへの接続も想定した導入が進む可能性が見えてきている」とコメントしている。
同調査については、IDCが発行したレポート「2014年 国内モバイル/クライアントコンピューティング市場 プラットフォーム/サービス/アプリケーションに関する調査」(J14170104)でその詳細が報告されている。