[技術解説]

不動産業界の旧態依然を改善し、利用者と事業者を共にハッピーにする「ITANDI」─イタンジ

Ruby開発最前線─Ruby bizグランプリ2024大賞サービスを紹介(1)

2025年7月18日(金)Rubyアソシエーション

日本発のオープンソースのプログラミング言語「Ruby」と、その開発フレームワーク「Ruby on Rails」。これらを用いて開発されたアプリケーションやサービスは数多あるが、その中から、特にすぐれたものを表彰するのが年次アワードプログラム「Ruby bizグランプリ」だ。本稿ではRuby biz Grand prix 2024の大賞に選ばれた2つのサービスのうち、不動産業務の効率化を図るサービスを展開するイタンジを紹介する。
※本稿の内容は取材時点(2025年2月)の情報に基づいています

Rubyのすぐれたビジネス事例を表彰するアワード

 Rubyは、生産性を高めるフレームワークRuby on Railsと共に、世界の多くの開発現場で使われているオープンソースのプログラミング言語である。その普及を促進するために2015年に始まったのが「Ruby bizグランプリ」という年次アワードプログラムだ。Rubyの開発者まつもとゆきひろ氏の活動拠点である島根県が中心になって組織したRuby bizグランプリ実行委員会が主催し、グランプリの審査委員長をまつもと氏自身が務めている。

 アワード名のとおり、Rubyを使って開発されたビジネス用途のシステムやサービスの中から、新規性、独創性、市場性、将来性に富み、今後継続的に発展が期待できる事例を表彰する。

 前回のRuby bizグランプリ2023では、ピクシブが開発したイラスト、マンガ、小説の投稿プラットフォーム「pixiv」およびpixiv関連サービス(関連記事累計1億人が利用する「pixiv」のタイムリーな開発を支えるRuby on Rails─ピクシブ)と、ウーオが開発した水産流通プラットフォーム「UUUO(ウーオ)」(関連記事魚市場から生まれた水産流通プラットフォーム「UUUO」、Rubyで迅速開発─ウーオ)が大賞を受賞している(関連記事2018~2023年のRuby bizグランプリ大賞を紹介した記事)。


Ruby bizグランプリ2024大賞
不動産業界SaaS「ITANDI BB」および不動産業者間サイト「ITANDI BB+」
開発概要:不動産賃貸取引をなめらかにするサービス群
開発企業:イタンジ https://www.pixiv.co.jp/
開発した主なシステム
・リアルタイム不動産業者間サイト「ITANDI BB」
・不動産賃貸業務のDXサービス群「ITANDI BB +」
利用技術
・フロントエンド:Next.js
・バックエンド:Ruby on Rails
・データベース:MySQL、OpenSearch
・データ処理:Apache Airflow、Google Big Query
ニーズおよび解決したかったこと
・不動産業界の非効率的な業務フローのデジタル化
・システム間連携の複雑性の解消
・データ活用を通じて住まい探しの消費者体験をより良くする
Ruby採用理由
・高い開発生産性
・スケーラビリティとメンテナンス性
・人材市場とコミュニティの充実
Ruby採用効果
・開発スピードと品質の両立
・システム統合とスケーラビリティの向上
・組織的な開発効率の改善

不動産業界の非効率をテクノロジーで解決

 イタンジ(ITANDI)は、「テクノロジーで不動産取引をなめらかにする」をミッションに、不動産業界やその周辺領域でさまざまなサービスを提供している。

 従来、不動産管理会社や不動産仲介会社といった賃貸取引に携わる事業者は「データは手作業で管理」「電話・ファクス文化」「紙の契約書が必須」など、事務作業に多大な手間がかかる課題を抱えていた。

 一方で、利用者側にも「住まい探しに関するポータルサイトで物件を探す際、“おとり物件”(注1)に釣られてしまう」「何度も不動産屋に足を運ぶ必要がある」「入居先決定までに時間がかかる」といったさまざまな課題が存在していた。

注1:おとり物件とは、不動産サイトなどに情報が掲載されているものの、実際に問い合わせをすると契約済みで取引不可能な物件のこと。

 イタンジが、そういった不動産業界の課題を解決すべく最初にリリースしたのが、物件確認電話の自動応答システム「ぶっかくん」だ。管理会社が物件の最新情報を登録しておけば、その後の電話での受け答えを自動化できる。不動産管理会社は、賃貸仲介会社からの電話を何度も受けなくて済み、事務作業を効率化できるわけだ。

 その後も、賃貸住宅の内見予約受付システム「内見予約くん」、賃貸不動産の申込受付システム「申込受付くん」、賃貸仲介業務の営業⽀援システム「ノマドクラウド」などのサービスを次々と展開。この業界の非効率な業務フローの改善に取り組んできた。

 成果は市場調査レポートの数字に明らかだ。リーシング・マネジメント・コンサルティングの「引越しシーズンから探る賃貸住宅不動産市場の最新ニーズと傾向2024」によると、内見予約くんは、2年連続で不動産仲介会社利用率トップである。

●Next:”不動産取引をなめらかにする”ITANDI、Ruby on Railsが開発と稼働を支える

この記事の続きをお読みいただくには、
会員登録(無料)が必要です
  • 1
  • 2
  • 3
関連キーワード

イタンジ / Ruby / Ruby on Rails / 島根県 / アワード / 不動産

関連記事

トピックス

[Sponsored]

不動産業界の旧態依然を改善し、利用者と事業者を共にハッピーにする「ITANDI」─イタンジ日本発のオープンソースのプログラミング言語「Ruby」と、その開発フレームワーク「Ruby on Rails」。これらを用いて開発されたアプリケーションやサービスは数多あるが、その中から、特にすぐれたものを表彰するのが年次アワードプログラム「Ruby bizグランプリ」だ。本稿ではRuby biz Grand prix 2024の大賞に選ばれた2つのサービスのうち、不動産業務の効率化を図るサービスを展開するイタンジを紹介する。
※本稿の内容は取材時点(2025年2月)の情報に基づいています

PAGE TOP