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Industrie 4.0やIndustrial Internetの根幹をなすCyber Physical Systemsの意義
2016年1月18日(月)大和 敏彦
ドイツの産官学共同プロジェクトの「Industry4.0」や、米GEが主導するIndustrial Internetにおいて、その根幹となるコンセプトが「CPS(Cyber Physical Systems)」である。サーバー空間に構築した実世界と同じモデルを「デジタルツイン」と呼ぶ。今回は、CPSやデジタルツインの動向と可能性について考えてみたい。
「CPS(Cyber Physical Systems)」では、既存データやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)による各種センサーなどから収集したデータを基に、サイバー空間上に実世界と同じモデルをアルゴリズムなどに基づくデジタルテクノロジーによって作り上げる。そのモデルを使ってシミュレーションやアナリティックスを実施することで課題に対する解を見つけ、その解を実際の問題に適用することで実世界の改善や改革を目指す(図1)。
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このサイバー空間上のモデルを「デジタルツイン」と呼ぶ。この言葉も最近、IoTの応用として色々なところで見かけるようになってきた。IoTといっても、センサーや機器からデータを収集し蓄積するだけでは何も起きない。データを改善や改革につなげていくことで初めて価値が生まれる。CPSは、個別の部品やプロセスの一部に焦点を当てるだけでなく、全体のモデルを作り上げ、各部分の連携を基に全体最適を図るためのコンセプトだと言える。
製品開発のキーテクノロジーとして始まったCPS
CPSやデジタルツインという言葉は元々、製品開発のキーテクノロジーとして使われ始めた。センサー機器からデータを取得し、そのデータを解析し、その結果から得られる知見によって、製品やサービスをより良くしていく開発サイクルを実現するために使われる。
製品を構成する各部品が動作した際に、その動作結果や、動作が環境に与える影響をセンサーによってリアルタイムに収集し、動作と結果をリアルタイムに解析しフィードバックする。そのためのモデルとして、実製品の“双子”の一方となるデジタルツインを作成する。
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CPS / Industrie 4.0 / デジタルツイン