デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性への認識が高まっている。DXに取り組む際に、検討しなければいけない重要なテクノロジーがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)である。
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の経済的波及効果は、2020年に1兆9000億ドルになると予想されている。最も影響の大きい分野が製造業で全体の15%を占める。他にも、同等規模でヘルスケア、さらには教育や農業にもIoTは大きく波及する。実際、製造業では、米GEの「Industrial Internet」や、独政府が産官学で進める「Industry4.0」、中国の「製造2025」など、世界中で変革へのチャレンジが進んでいる。
IoTによって得られるセンサーデータや画像データは、仕事やプロセスの中で、これまで知ることができなかった部分やインサイトの“見える化”を可能にする。見える化が新ビジネスの創出やプロセスの変革、自動化・効率化につながる。客先にある製品から収集したデータからは実際の使い方や使用頻度などを知ることができるため、さらなる顧客満足度の向上や新製品の開発につなげられる。こうしたプロセスや仕事、顧客との関係に起きようとしているイノベーションに対応できなければ、競争力や価値を失い生き残りも難しくなる。
テクノロジーのビジネス化速度は日米間で大差
企業のIoTへの対応状況について、調査会社のIDC Japanが2016年8月に、従業員数1000人以上の企業を対象に調査している。その結果が図1である(『国内IoT利用成熟度に関するユーザー調査』より)。

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半数近い企業が「ステージ2=限定的導入」すわなち「IoTの必要性を認識し始めている」レベルにある。これは米国での調査結果と比べると15ポイントも高い。逆に「ビジネス変革に主要な影響力を及ぼし、重要な推進力になっている」とする「ステージ5=継続的革新」にまで進んでいる企業が、日本ではほとんどいないのに比べ、米国は10ポイント高くなっている。日本と米国の間に、テクノロジーのビジネス化におけるスピードの違いがあることが分かる。
ステージ2から進まない理由としては「費用対効果が見えにくい」ことが挙げられている。この要因と考えられるのが“進め方”だ。テクノロジートライアルとしてスタートするか、ビジネスの仮説を立てビジネスモデルに基づいてトライアルを進めるのか。これによって、そのビジネス化には差が出る。
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