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EY新日本、“説明可能なAI”で建設業など請負業監査における工事契約の進捗予測を高度化

2023年4月25日(火)IT Leaders編集部

EY新日本有限責任監査法人(EY新日本)は2023年4月24日、建設業など請負業を対象とした監査において、“説明可能なAI”(XAI)の利用を開始したと発表した。これまでも、工事契約の進捗度を予測する際にマシンラーニング(機械学習)を使ってきたが、今回、XAIを用いた分析機能を追加した。同年3月から利用を始めている。

 EY新日本は、建設業など請負業を対象とした監査において、マシンラーニング(機械学習)を用いて進捗度を予測し、不自然な進捗度の推移を検知するツール(以下、進捗度異常検知ツール)を開発し、利用している。今回、監査先企業への説明責任を高めることを目的に、“説明可能なAI”(XAI)を用いた分析機能を同ツールに追加した(図1)。

図1:不自然な進捗度の推移を検知するツールに、説明可能なAIを用いた分析機能を追加した(出典:EY新日本有限責任監査法人)
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 XAIは、アルゴリズムが導き出した予測や推定結果について、そこに至る計算過程を人間のユーザーが理解し、中身を説明可能にする技術である。計算過程にはどういう特徴量(予測の手がかりとなる数値)があるか、AIが判断するために必要な基準となる重みづけがどこにあるか、などが分かる。AIが出した結果と根拠を合わせて活用可能になる。

 進捗度異常検知ツールにXAIによる分析機能を追加したことにより、AIのブラックボックス問題に対処可能になった。各工事契約において、何の特徴量が、どの程度推定値の算定に影響しているかを把握できるようになった。また、特徴量が類似する他の工事契約をXAIが提示するため、監査人は全体の傾向を理解したうえでリスクにフォーカスしたアプローチをとれる。

 XAIの導入によって期待できる効果として、機械学習によって異常と判断した工事契約に対して、特徴量(工事種類、担当支店、工期など)をより深く分析できるようになる。このうえでさらに、工事契約の特徴量に関する監査人の洞察を提供することによって、監査先企業におけるガバナンスの強化につながる。

 今後は、進捗度異常検知ツールの異常検知機能の精度向上のため、衛星データなどオープンデータの活用を進める。また、機能を追加することによって、建設業以外の業種に属する監査先企業に対しても、進捗度異常検知ツールを展開する。また、財務諸表レベルの異常検知によってリスクの高い会社や勘定科目を特定したうえで、取引レベルの異常検知をシームレスに連携させる。これにより、効率的かつ効果的なデータ分析の実現を目指す。

 なお、EY新日本は、EY(アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワーク)の日本におけるメンバーファームである。監査および保証業務を中心に、アドバイザリーサービスなどを提供している。

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