[事例ニュース]
キリングループ、生成AIを戦略立案や研究開発など専門性を求める部門に導入
2025年7月14日(月)IT Leaders編集部、日川 佳三
キリンホールディングス(本社:東京都中野区)は2025年7月14日、OpenAI Japanの法人向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」を同月から導入すると発表した。キリングループの戦略立案・企画系、研究開発、マーケティングの各部門の一部に導入し、生産性向上と価値創造を加速するとしている。合わせて、業務に特化したAIエージェントの構築を予定する。
キリングループは、「人がやらなくてよい仕事をゼロにする(生産性向上)」と「人と共に価値を生み出す仕事を加速させる(価値創造)」の2つをビジネス成果の柱として掲げている。これらを支えるデジタル基盤の1つとして、生成AIの活用に取り組んでいる。
2025年5月には、国内従業員約1万5000人に向けて、自社構築の生成AIツール「BuddyAI」の展開を始めた(関連記事:キリングループ、自社構築の生成AIツール「BuddyAI」の導入部門を拡大、国内1万5000人が利用へ)。
BuddyAIの展開を通じて、「従業員が生成AIを業務の中で当たり前に使う組織風土を醸成する」としている。中期的には、キリングループが顧客接点から得て蓄積してきたデータを生成AIで活用し、業務プロセスの変革や、デジタル技術を活用したビジネス/サービスの開発につなげる。
専門性を要求する業務にChatGPT Enterpriseを活用
BuddyAIと並行して、2025年7月から、OpenAI Japanの法人向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」(図1)を戦略立案・企画系、研究開発、マーケティングの各部門の一部に導入する。合わせて、業務に特化したAIエージェントを構築を予定している。「ChatGPT Enterpriseの検索・推論機能を、専門性を要求する業務で活用することで、複雑な状況に対応するために必要な調査や価値創造のための戦略立案に役立てる」(キリン)としている。

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例えば、戦略立案・企画系部門では、外部環境調査や経営計画策定の壁打ちなどに使い、変化の激しい環境にも迅速に対応できるようにする。研究開発部門では、特許・文献の調査、実験データの分析、論文の作成に使う。マーケティング部門では、新商品の開発に向けた調査・分析・壁打ちなどに使い、価値創出までのスピードを上げる。
また、従業員が効果的に生成AIを活用できるように、教育プログラムを整備する。
キリンホールディングス社長COOの南方健志氏は、「従業員が生成AIを当たり前に活用するだけでなく、抜本的に業務プロセスを変革するチャレンジを推進できるよう、経営陣も責任を持って牽引する。単なる効率化を超え、生産性向上と価値創造を強力に推進する」とコメントしている。