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東京海上日動、JPX総研、三菱UFJ銀行が明かす「金融業の生成AI高度活用」

開発全工程にAI適用、15万件の開示資料検索、金融商品の提案書作成

2025年10月9日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2025年10月9日、説明会を開き、顧客3社の生成AIの活用事例を紹介した。東京海上日動システムズはシステム開発工程に、JPX総研は上場企業の開示資料検索に、三菱UFJ銀行は金融派生商品提案のための財務課題分析や提案書作成にそれぞれ活用している。

写真1:アマゾン ウェブ サービス ジャパン 金融事業開発本部長の飯田哲夫氏
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 生成AIを活用する金融業界のユーザー企業3社(東京海上日動システムズ、JPX総研、三菱UFJ銀行)がアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の説明会に登壇し、各社のキーパーソンが取り組みを紹介した。

 AWSジャパン 金融事業開発本部長の飯田哲夫氏(写真1)は、「2024年はユーザー企業が生成AIを業務に使い始めた年だったが、2025年は生成AIの適用分野や規模を拡大し、ビジネス価値へとつなげるフェーズに入った」と説明。技術面では、単一の機能を支援するアシスタントから、複数の機能を組み合わせて自律的に動作するAIエージェントに変わっていくとした。

東京海上日動システムズ
開発全工程にAI適用、実装工数は3割削減

写真2:東京海上日動システムズ インフラソリューション一部兼戦略企画部の山下裕記氏
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 東京海上日東京海上グループのITシステムを担う東京海上日動システムズは、システム開発工程に生成AIを適用している。同社インフラソリューション一部兼戦略企画部の山下裕記氏(写真2)は、「システム化の対象となるビジネスニーズが増えている一方で、IT人材は不足している。システム開発の全工程で発生する生成物を生成AIに作らせる」と説明した。

 2年前に、保険金支払業務システムのコーディング工程に生成AIを適用している。当時実施したシミュレーションでは、新規開発で44%、仕様変更で83%の工数を削減できることを確認。実案件で適用して、約30%の工数削減を図っている。

 現在は、監視・障害対応の運用にAIを適用している(図1)。監視によってシステム障害を検知すると、まずはAIで障害の内容を分析。その後、自動復旧が可能な既知の障害については自動復旧させる。未知の障害については、原因や影響範囲、対応策などの提案をAIが生成し、システム担当者にサジェストする。

図1:東京海上日動システムズによる、監視・障害対応における生成AIの活用方法(出典:東京海上日動システムズ)
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 今後は、開発と運用だけでなく、要件定義や設計などを含めたシステム開発の全工程に生成AIを適用する意向だ。すでに、複数のシステムで検証を行った。障害系システムでは、従来2カ月かかっていたところを1.5日間で開発が完了したという(図2)。

図2:東京海上日動システムズによる、システム開発の全工程に生成AIを適用するイメージ(出典:東京海上日動システムズ)
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●Next:4000社の開示資料をベクトルデータ化したJPX総研

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