[市場動向]
創業40年の日本オラクルが“再成長”を宣言、重点施策はクラウドモダナイゼーションとAI
2025年7月15日(火)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
日本オラクルは2025年7月8日に説明会を開き、2026年会計年度(2025年6月~2026年5月)の事業戦略を明らかにした。同社 取締役 執行役 社長の三澤智光氏は、一昨年度より重点施策に掲げる「日本のためのクラウド」「顧客のためのAI」の継続を宣言。クラウド事業では、基幹システムのモダナイゼーションの推進やソブリンクラウドサービスの拡充について説明した。AI活用支援では、シングルデータモデルに基づくSaaS群やマルチモーダルなデータ基盤を生かし、AIエージェントの業務適用を後押しするとした。
米オラクル(Oracle)の2025年会計年度におけるグローバル通期売上高は、前年同期比8%増の574億米ドル(約8兆3000億円)。日本オラクルの売上高は前年同期比7.8%増の約2635億円であり、グローバル同様の成長を遂げている。
上記に加えて、契約済みの受注残(RPO:Remaining Performance Obligation)は第4四半期の時点で、前年同期比41%増の1380億米ドル(約20兆円)に達する。このうち、約3分の1は2025年度内の収益計上を見込む。
日本オラクル 取締役 執行役 社長の三澤智光氏(写真1)は、「オラクルは再成長を始めた」とクラウド事業の好調ぶりをアピール。受注残の約8割はクラウド事業で、その成長率は2025年度の24%から2026年度には40%を超える見込みだという。直近では、1つの顧客と年間300億米ドル(約4兆3000億円)に達する巨大契約を交わしたことにも言及した。
2025年は日本オラクルの創業から40周年、東京証券取引所への上場から25周年の節目となる。三澤氏は「40周年を記念できるよい年にしたい」とコメントした。

2026年度の事業戦略における重点施策は「日本のためのクラウド」と「顧客のためのAI」の2点。これらは2024年度から継続しているが、三澤氏は「本当の意味で実現していくには時間がかかる。しつこく続けていきたい」と話した(関連記事:「後発の強みで、日本の顧客のためのクラウドとAIを届ける」─日本オラクル/競争力を削ぐ「塩漬けの基幹システム」、モダナイゼーションが急務─日本オラクル)。
●Next:日本におけるソブリンクラウド提供を強化
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