[市場動向]
仮想化・クラウド・AIの“摩擦”を解消する─レッドハットが生成AI時代の顧客支援方針を説明
2025年7月8日(火)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
レッドハットは2025年7月1日、説明会を開き、2024年度の事業のハイライトと、2025年度の事業戦略を説明した。システム基盤の構成技術が細分化する中、同社は仮想化・クラウド・AIを包括して、顧客の総合的な技術活用を支援するとした。AI活用については、大規模な汎用モデルとオープン/専門的な小規模モデルのハイブリッド活用や、多様なモデルやハードウェアとの柔軟な連携を訴求する。また、仮想マシンからコンテナに移行した事例として、日興システムソリューションズと日本中央競馬会(JRA)の事例を紹介した。
米レッドハット(Red Hat)の2024年度(同年1月~12月)グローバル売上高は、前年比11.4%増加した。事業を支える4つの柱のうち、Linuxディストリビューションの「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」は8%、コンテナ基盤の「Red Hat OpenShift」と構成管理ツールの「Red Hat Ansible」は2ケタ台の伸びを達成している。また、AIプラットフォームの「Red Hat AI」は、売上に占める割合はRHELなどに比して少ないが、成長を支えているという(図1)。

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日本法人であるレッドハット 代表取締役社長の三浦美穂氏(写真1)は、日本市場の伸び率はグローバルを上回り、なかでもOpenShiftの成長が顕著であることをアピールした。
同氏が紹介した2024年度のトピックによると、OpenShift上で仮想マシンを動かすための「Red Hat OpenShift Virtualization」の成長が牽引する形で、2024年のグローバル成長率は前年比で178%に達するという。三浦氏は、「日本市場でも、既存の仮想化環境を問い直す機運が高まっている。多くの顧客が数年後を見据えて検証や実証を進めており、成長は来年以降も続く見込みだ」と述べた。
2025年5月に正式版を提供開始したRHELのメジャーバージョン「RHEL 10」を、三浦氏は「10年に一度の大きな機能拡充」だと表した。特筆すべき新機能として、コンテナ技術を用いたOSブートイメージを配布し、ロールバックを容易にすることでOS更新やパッチ適用の負担を軽減する「イメージモード」を挙げている(関連記事:「Red Hat Enterprise Linux 10」リリース、ブート可能コンテナ、CLIで使える生成AIアシスタントなどの新機能)。
また、車載用のLinuxディストリビューションである「Red Hat In-Vehicle Operating System」が、自動車用の機能安全規格(ISO 26262)に基づく安全認証「ASIL(Automotive Safety Integrity Leve)」において、オープンソースソフトウェア(OSS)として初めてASIL Bを取得したことを紹介。「SDV(Software Defined Vehicle)開発におけるOSS活用は広がってきており、同認証による後押しを期待する」(三浦氏)とした。
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