[ユーザー事例]
ローコードツールで学生と職員が共創、香川大学が実践する「内製化の実際」
2025年11月20日(木)柴崎 辰彦(Cercle Partners 代表/富士通 パブリックコンサルティング事業部)
日常的に「あったらいいな」と思えるクラウドサービスやスマホアプリを、どうやって開発・運用すればよいか? 基幹業務システムのように外部の専門ベンダーに開発を委託するのは費用や時間の面から現実的ではない。やはり、自分たちで実践する内製化が望まれる。それを工夫しながらうまくやっている組織の1つが香川大学(本部:香川県高松市)である。実際にどうやっているのかを、同大学の取り組みに詳しい柴崎辰彦氏(Cercle Partners 代表/富士通)が解説する。
大学におけるデジタル化は、「業務の効率化」や「導入費用の削減」といった文脈で語られることが多い。専門家である外部ベンダーに業務システムの開発を委託し、時間とコストを費やして構築する以上、投資効果を最大化することが重視されるためである。それは大学に限らず一般企業でも同様かもしれない。
これに対し香川大学は、デジタル化を「現場の人が自ら課題を解決すること」「自分たちの現場課題は、自分たちで解くこと」として再定義し、教職員や学生による内製化を推進している。業務効率を高めることに加えて、教職員や学生の“デジタル活用力”を育てる狙いもある。職員や学生が協働し、学内の困りごとや「あったらいいな」を自分たちの手で形にしていく点では、組織の“文化”を変える試みと捉えることもできる。
香川大学は2020年頃から取り組みをスタート。ローコード開発基盤として「Microsoft Power Platform」を活用しながら、さまざまなアプリケーションを作ってきた。特徴の1つが、学生/大学院生(以下、学生)をエンジニアとして雇用し、教職員とともに開発の戦力にしていることである。本稿ではこのことも含めて、香川大学における内製化の取り組みと見るべきポイントを解説する。
教育・研究・業務のDXを一体推進する「デジタルONE構想」
内製化に取り組んできた背景には、大学組織特有の構造を変革する意図もある。大学では自主性や主体性が重んじられるので研究・教育・業務がそれぞれ独立し、全体最適よりも部分最優先になりやすいのだ。こうした縦割り構造を超えて、研究・教育・業務の“共創”を促したい──。そこで香川大学は研究DX、教育DX、業務DXの3つを一体として推進する「デジタルONE構想」を掲げた。その骨子は次の4点である。
- 大学全体のデジタル基盤を整備し、そのうえで研究・教育・業務のデジタル化を進めるようにする
- 基幹システムやネットワーク等の共通IT基盤を担う情報メディアセンターと同格で、内製化を企画・運営するDX推進研究センターを置く
- 後者のセンター内に「DXラボ」を設け、学生に開発に携わってもらう
- 全体を統括するCDOを置く
これらを明確に定義することで、大学全体のデジタル化を持続的に推進させる狙いがある。
●Next:IT化・デジタル化の推進体制と内製化の成果
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