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[市場動向]

AIサーバーの急速な普及で、世界のデータセンター電力需要は2030年までに2倍に─米ガートナー

今後10年でクリーンエネルギーへの転換が進む

2025年11月19日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

米ガートナー(Gartner)は2025年11月17日(米国現地時間)、世界のデータセンター電力需要が2025年に前年比16%増加し、2030年までに倍増するとの予測を発表した。電力消費量は2025年の448TWh(テラワット/時)から2030年には980TWhに増えるという試算で、AIシステムを稼働するサーバーの急速な需要拡大がデータセンターの電力消費量の増大を加速させているという。

 米ガートナー(Gartner)は、世界のデータセンター電力需要が2025年に前年比16%増加し、2030年までに倍増すると予測している。電力消費量は2025年の448TWh(テラワット/時)から2030年には980TWhに増えるという試算で、AIシステムを稼働するサーバーの急速な需要拡大がデータセンターの電力消費量の増大を加速させているという(図1)。

図1:データセンターが消費する電力の予測(2025~2030年)(出典:米ガートナー、2025年11月)

 同社リサーチディレクターのリンラン・ワン(Linglan Wang)氏は、AIサーバーの電力使用量が、2025年の93TWhから2030年には432TWhへとほぼ5倍に増えると指摘。データセンター全体のうち、AIサーバーの電力消費量の割合は2025年時点で21%だが、2030年には44%に達し、追加電力需要の64%を占めるという。

 地域別では、米国と中国がデータセンター電力需要の3分の2以上を占める見込み。ガートナーは中国の状況について、電力効率の高いサーバーと適切なインフラ計画により、米国よりも有利な立場にあると説明している。

 一方の米国は、地域全体の電力消費量に占めるデータセンターの割合が2025年の4%から2030年には7.8%へと上昇。欧州でも2.7%から5%に増加するという。「中国とアジア太平洋地域の伸びは相対的に緩やかである」(同社)。

 膨大な電力をまかなうための源について、「現状、オンサイト発電の主力は化石燃料だが、この状況は持続可能ではない」とガートナーは警告する。グリーン水素、地熱、小型モジュール炉(SMR)などのクリーンエネルギー代替案が登場し始めており、今後10年以内にデータセンターの新たな燃料源になる見込みだとしている。

 VPアナリストのトニー・ハーベイ(Tony Harvey)氏は次のように説明している。「短期的には、天然ガスがデータセンターの主要な電力源となる。しかし今後3~5年で、太陽光や風力発電の変動を調整するための蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)が急速に普及する。地熱マイクログリッドは大きな可能性を秘めているが、初期費用の高さや認可の課題により、当面は限定的な選択肢にとどまる」。

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