システム開発を受託するDGビジネステクノロジーは、システム開発の上流工程である要件定義に生成AIを適用し、これまで4人月(約640時間)を要していたプロトタイプ構築までの作業を、22.5時間に短縮した。要件定義AI「Acsim」を提供したROUTE06が2025年11月21日に発表した。
DGビジネステクノロジー(DGBT)は、システム構築サービスを提供しているベンダーである。同社は、上流工程の要件定義に課題を抱えていた。担当者の属人的なスキルに依存しやすく、品質のばらつきや初期認識の齟齬による手戻りが発生していた。特に、若手メンバーは顧客の意図を汲み取る難易度が高く、テンプレートでは対応しきれないケースも多かった。
要件定義の再現性を高め、効率化と品質向上を両立する手段として、要件定義AI「Acsim(アクシム)」(ROUTE06が提供)を導入した(画面1)。導入の成果として、これまで4人月(約640時間)を要していたプロトタイプ構築までの作業を、22.5時間に短縮した。実質1人で初期構築まで対応することで、工数を約96%削減した。
画面1:要件定義AI「Acsim」の画面(出典:ROUTE06)拡大画像表示
従来5人体制で行っていた要件定義プロジェクトを3人で進められるようになり、同一リソースで稼働可能なプロジェクト数を最大1.5倍に拡張できる見通しが立った。また、プロトタイプをベースに提案することで、顧客との認識のズレや手戻りが減った。顧客との議論の質とスピードが向上し 、以前はマイルストーンで求められていた一部の資料も不要になった。
DGビジネステクノロジー 事業開発本部 マネージャーの松田孝宏氏は要件定義AIのAcsimについて、「業務フローを起点としているため、汎用LLMのように使う人によってアウトプットがばらつくことなく、誰が使っても高い再現性で成果物の品質を揃えられる」と評価する。
なお、Acsimは、要件定義を生成AIで省力化するサービスである。現状把握と課題抽出、改善方針提示、プロトタイプ構築、稟議支援、設計書の自動出力まで、要件定義に必要なプロセスを一貫して支援する。生成しや設計情報は、実装・テストといった後続工程で活用可能である。

































