[海外動向]

ブロケード、機器をソフトウェア制御するSDNを推進、次代のネットワークを見据えた製品戦略打ち出す

Brocade Analyst and Technology Day 2012 2012年9月2日/米サンノゼ

2012年10月15日(月)折川 忠弘(IT Leaders編集部)

ブロケード コミュニケーションズ システムズは2012年9月12日、米国本社で記者やアナリスト向けのイベントを開催した。現行のネットワーク環境の課題を解決する手段として、昨今注目を集める「Software Defined Network(SDN)」と同社が推奨する「Ethernet Fabric」が必要であることを提起した。

米サンノゼにある本社ビル
写真1 米サンノゼにある本社ビル。近くにはシスコシステムズやフォース10(デル)といったネットワークベンダーの本社がある

ネットワーク機器をソフトウェアによって制御する「SDN」。この新たな潮流に対し、ブロケードはいかなる戦略を持って臨むのか。

ブロケードはSDN指向の製品戦略をすでに打ち出しているが、今年のイベントではSDNに注力することを改めて強調するとともに、独自技術である「Ethernet Fabric」との連携こそが不可欠だと声高に訴えた。

次代のネットワークを見据え
柔軟性とシンプル性を訴求

朝9時から始まったゼネラルセッションには、約120人の記者やアナリストが参加。登壇したCTOのデイブ・スティーブンス氏は、SDN やEthernet Fabricが必要となる背景を次のように述べた。「社会のニーズが多様化する中、トラフィックを予測するのは困難になりつつある。20年前に構築したネットワークのアーキテクチャでは、こうした変化に追従できない。そこで、日々異なるトラフィックに適応する能力を備えつつ、これまでのように管理が複雑にならないネットワークが次代には求められる。これら要件を満たす鍵となるのがSDNとEthernet Fabricだ」。

SDNはネットワーク機器が実施していた経路や帯域の制御をソフトウェアで集中管理しようという考え方である。これを具現化する技術の1つが「Open-Flow」で、ブロケードは早くから検証実験を進め、実用化に向け取り組んできた。「OpenFlowを用いれば、スイッチやファイアウォール、ロードバランサなどの物理機器を再配置することなく、画面上で定義するだけで必要なネットワーク環境を構築できる。トラフィックの変動に迅速かつ柔軟に対処するのに有効だ」(アプリエケーションサービスプロバイダ担当バイスプレジデント ケン・チェン氏)。

ただしOpenFlowの場合、どういった経路でデータを転送するのかをあらかじめ定義しておく必要がある。「Open -Flowでネットワークを設計するのは必ずしも容易ではない。そもそもデータがどんな経路を通っているのかを知る必要はない。そこで、ネットワークの設計作業を不要とし、自律的にネットワークを構築できるEthernet Fabricが活きる」(チェン氏)。

ではSDN(OpenFlow)は不要なのか。「両者は補完関係にあり、排他的に用いるものではない。当社では、複数のデータセンターのスイッチ群をEthernetFabricによって簡素化し、これらデータセンターをSDN(OpenFlow)で集中制御するという利用シーンを想定している。こうした環境こそが次代に求められるネットワークの1つの姿であると考える」(チェン氏)。

OpenFlow対応製品を発表、性能面での優位性をアピール

“SDN(OpenFlow)+Ethernet Fabric”を具現化する製品の拡充も進める。新たに発表したスイッチ「VDX8770」はVDXシリーズの最上位モデルに位置づく。Ethernet Fabricにより複数のスイッチを1台のスイッチと見なして運用でき、最大24 台の機器を仮想的に集約する。OpenFlowを使って制御することも可能だ。

そのほか、データの転送速度が10Gbpsもしくは1Gbpsとなるポートを48基、または40Gbpsのポートを12基まで装備。ネットワーク機器を識別するMACアドレスを最大38万4000台に割り振ることができ、大規模環境での利用を想定する。

同じく大規模な回線事業者向けのルータ(コアルータ)「ML Xe」シリーズも発表。1シャーシあたり、データ転送速度が10Gbpsとなるポートを768 基まで実装する高密度を売りにする。

OpenFlowによって定義した経路と従来のネットワークによる経路を併存して利用する「OpenFlow HybridMode」を備える点が特徴だ。Open-Flow 対応となるスイッチにすべて置き換えずに、未対応となるスイッチと混在環境で利用できるようになる。機器に搭載する専用プロセサの開発も進め、「SDN により機能のソフトウェア化が進む中、信頼性や性能といった付加価値をハードウェアできちんと担保し、競合製品との差異化を図る」(チェン氏)。

CEO のマイク・クレイコー氏
写真2 CEO のマイク・クレイコー氏。
SDNやクラウド向け事業に注力していくことを明かした
CTO のデイブ・スティーブンス氏
写真3 CTO のデイブ・スティーブンス氏。
ネットワークの複雑性を解決する手段としてSDNとEthernet Fabricの併用を提起した
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