IDC Japanは2014年4月3日、SDN(Software-Defined Networking)およびNFV(Network Functions Virtualization)に関する国内市場動向の分析結果を発表した。
「SDNがようやく実用段階に入ってきた」という話を各所でよく聞くようになった。IDC Japanは、“OpenFlowブーム”や“SDNブーム”に沸いた2012年~2013年と比べると、SDNの導入が現実感を帯びてきており、SDNに漠然とした期待を抱く段階から、現実のネットワーク環境への適用に一歩踏み出している段階に至っていると指摘。先行しているデータセンターにおけるSDNは、2017年には342億円市場になるとの見通しを示している。
SDNの理解が進んでいる1つの表れとして、IDCはSDNという呼称が示す定義の変化を挙げる。同社によると、昨今はネットワークの適応領域によってSDNが指すものが明確に使い分けられ始めており、データセンターSDNでは、クラウドサービスが提供するネットワーク機能を迅速にかつ効率的に提供することを中心として求められる機能が整理され、アーキテクチャも大筋で収束してきているという。一方で、企業ネットワークSDNについては、ネットワーク機器の一元管理と論理ネットワークの面的拡大ととらえられるようになっているとのことだ。
キャリアSDNおよびNFVは、データセンターや企業ネットワークにおけるSDNからは遅れて議論が始まった、とIDC。これらは通信事業者が求める次世代のネットワークインフラを実現する手段として期待されているが、現時点では、キャリアSDNやNFVの適用範囲は特定分野に絞り込まれてはおらず広く議論されている段階にあるという。「今後、通信事業者の次世代ネットワークインフラストラクチャに関する議論が深まる中で、ユースケースの明確化や選別が進むとみられる」(同社)
今回の市場動向調査においてIDCは今後の市場成長予測も示している。それによると、2014年、データセンターSDNの導入はさらに本格化し2017年には市場規模が342億3400万円に達し、キャリアSDNとNFVは、2016年以降に急速に立ち上がり、2017年には市場規模がそれぞれ366億5600万円、560億4900万円に達すると同社は見ている。一方、企業ネットワークSDN市場は、データセンターと比較すると受容性が乏しいというのが同社の見解で、データセンターSDN市場の約4分の1程度の市場規模にとどまるとしている。
市場初期段階から成長期へと向かう現段階において、SDNの市場・業界を形成するエコシステムプレイヤーが市場を成長軌道に乗せ、そして自らが市場で生き残るために留意すべき点も明らかになってきている。IDCは、特にデータセンターSDN市場においては、次世代のデータセンターSDNを志向する動きも見られるとしている。この点についてIDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの草野賢一氏は以下のようにコメントしている。
「現世代のソリューションで明らかになっている課題を、POC(Proof of Concept)を通じて1つずつ解決していくことが、データセンターSDN市場の『第2幕』に勝利するカギとなる。また、包括的なソリューションを提供していないエコシステム内のベンダーは、勝ち残るベンダーを見極めながら、自身のSDNソリューションの強化につながるパートナーシップの構築に取り組むべきである」
今回の発表の詳細は、IDCが発行した「国内SDN市場 2013年の実績と2014年~2017年の予測:データセンター、企業、キャリアSDNとNFVの動向」で報告されている。