データの高度活用を実現するアプローチの1つに、世界的潮流であるオープンデータへのアクセスと活用の仕組みを整えることがある。2016年3月11日に開催された「データマネジメント2016」(主催: 日本データマネジメント・コンソーシアム)に、ローソン 営業戦略部シニアマネージャの羽鳥恵美子氏が登壇。「データ活用における産学官連携の可能性と今後への課題」と題した講演で、ローソンが産学官連携に関してどうデータを活用しているかを紹介した。
産官学連携でどうイノベーションを起こすか
ローソンのデータ活用と産学官連携の関係については、大きく3つの取り組みがある。1つ目は、2008年から取り組んでいるセンサーとAI(人工知能)制御による「省エネ店舗」の開発。2つ目は、販売データと気象の連動性を探ることで物流を見直し、廃棄ロスを削減する取り組み。3つ目は、大学の講座に参加し「消費インテリジェンス」を持った人材を育成する取り組みだ。
データマネジメント2016のステージに登壇した羽鳥氏(写真1)は、ローソンの産学官連携の取り組みの位置づけについて「企業間連携だけでなく、さらなるデータ活用の可能性、ビジネスの可能性があり、大きなチャンスだととらえている」と説明。同氏が所属する営業戦略部では、データ分析の結果を新たなビジネスに変えていくことが大きなミッションだ。取り扱うデータは、SNSやカスタマーセンターに寄せられる顧客の声から、POSデータ、共通ポイントサービス「Ponta」のデータ、GIS(地理情報システム)や市場調査データなど多岐にわたる。
産官学連携では、それらデータを含め、産官学のそれぞれがさまざまなデータを持ち寄り、生かすことが期待されている。例えば、産業界では、人材育成という視点での社会貢献や、異業種や新知見を得てビジネスを成長させていくことに対する期待が大きい。一方、官にとっては多様な人々が知恵を出しあい、連携協力して行動起こすこと、学にとっては大学で行う最先端の知の探求を知の活用につなげ、効果的に社会に展開できることが期待されている。
「そうした期待の中で、日本の産業競争力を強化するために必要なことは何か。いろいろな人に話を聞くと、やはりイノベーションが重要だという答えが返ってきます」(羽鳥氏)
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