矢野経済研究所は2025年7月8日、国内のPLM(製品ライフサイクル管理)市場についての調査結果を発表した。2024年度の市場規模は、システムメーカー出荷金額ベースで前年度比6.3%増の761億2500万円だった。2025年度は前年度比6.5%増の810億8000万円を見込む。市場の今後について、DX推進の流れが継続することや生成AI機能の追加によるPLMの高付加価値化が進むことなどから拡大基調を予測している。
矢野経済研究所は、国内のPLM(製品ライフサイクル管理)市場を調査した。調査対象はPLMシステムを開発・提供するメーカー/ベンダーで、2025年4月~6月に面談(対面/オンライン)と電話・メールによるヒアリングで調査を実施、文献調査も併用した。
2024年度の同市場規模は、システムメーカー出荷金額ベースで前年度比6.3%増の761億2500万円だった。2025年度は前年度比6.5%増の810億8000万円を見込む(図1)。

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調査にあたってPLMを、製品情報を一元管理可能なシステム製品と定義し、次のように説明している。「PLMは、エンジニアリングチェーン(企画から開発・設計、また製造、保守までを含む一連のプロセス)における製品データの流通基盤を担う。PLMを活用して過去の製品/顧客情報などのデータに基づき開発・設計・製造を行うことで、製品提供の効率を上げながら付加価値の高い製品を市場に投入可能になる」(矢野経済研究所)。
市場の概況として、近年におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の流れがPLMの導入を後押ししているという。「加えて、2021年頃からの国内企業物価指数上昇などによって日本の名目GDPが押し上がっており、製造業の業績も好調である。また、製造業における設備投資額およびソフトウェア投資も上昇傾向で、ユーザー企業におけるPLMへの投資意欲も堅調さを見せている」(同社)。
注目トピックとして、PLM製品への生成AI機能の実装が進んでいることを挙げる。「データを管理・活用するPLMは、データの分析・要約を得意とする生成AIと親和性が高い。また、3Dモデル・図面の形状読み取りや関連文書等とのひもづけをAIが担うことで精度と効率が上がる。すでに製品への生成AIの実装は進んでおり、ユーザー企業による実用検討段階に入っている」(同社)。今後、生成AI活用事例が広く紹介されることで関心が高まり、ユーザー企業数およびライセンス数が増えると見ている。