[インタビュー]

アジャイルが先か組織改革が先か、米CAのアジャイル担当GMが示す成功に向けた5ステップ

2017年6月21日(水)IT Leaders編集部

デジタル化が進むビジネス環境の変化に対応するための要件の1つに挙がるのが「アジリティ(俊敏性)」である。アジャイル開発といった開発現場のアジリティだけでなく、企業全体のアジリティが求められる。しかし、組織の改革はそう簡単ではない。組織がアジャイルになるためには、どうすれば良いのか。米CA Technologiesでアジャイル・マネジメント担当ジェネラル・マネージャを務めるAngela Tucci(アンジェラ・トゥッチ)氏が5つのポイントを解説する。同氏は、CAがアジャイル関連事業を強化するために買収したRally SoftwareのCEOだった。なお本稿は同氏の寄稿を元にインタビュー形式に再構成した。

ステップ3:現行プロセスを再考する

 現在のビジネスで使用しているプロセスとシステムの多くは、何十年も前から変化していないのではないでしょうか。当時の標準的なビジネスプロセスの自動化とは、物理的な商品を大量生産するために構築されたもので、現在とは状況が異なります。今日、求められる自動化とは、デジタル化による継続的な変更です。企業が組織上の新陳代謝を進めるのに合わせてリーダーは、新たな要望に迅速に対応できるプロセスとシステムへと見直しを図り、それを進展させなければなりません。

 今日の職場では、ガバナンスとコンプライアンスのプロセスだけでなく、人材やビジネスを成功に導くプロセスが必要です。それらは、人々の働き方の中に最初から組み込まれている必要があります。

ステップ4:適切なツールを見つける

 企業の基盤を整えて初めて、ツールが有効になります。企業の新陳代謝の基盤と適切なツールがあれば、リーダーシップとビジョンが増幅され、変革を妨げる摩擦が排除されます。そのうえで、優れたプロセスや行動を強化し、目標としている成果を定量化し、チームが適切に調整できるようにします。

 若い企業であっても、古びたツールやシステムを使っていれば、新陳代謝は停滞するでしょう。また最新ツールだと言っても、ソフトウェア開発プラットフォームや従業員の作業時間を記録する社内システム、あるいはコラボレーションのための新しいアプリなどは、仕事の効率を高めるという効果しか提供できません。

ステップ5:失敗を恐れない(失敗から学び適応する)

 従業員は、正しいリスクを取り、その結果失敗したとしても、減給や失職に対する“恐れ”を感じる必要はないはずですが、実際には必ずしもそうとは言いきれない実態があります。組織の文化やプロセス、構造を根本的に変えようとすれば、ある程度の失敗は避けられません。このことが、イノベーションの根底にあります。

 現代の企業では、計算済みのリスクが奨励されてしかるべきでしょう。重要なことは、そうした失敗から学び、よりスマートになることです。完ぺきを目指すのではなく「試し、学ぶ」。これこそが現代の「信条」です。

−−5つのステップを理解できても、それを実行できないのが実状では。

 組織の新陳代謝を高めるためには、全体システムの細部を検査する規律が必要です。これは、プロスポーツ選手が、食事やトレーニング方法、自己設定した目標、世界のレベルに到達するためにとる姿勢などを追求し続ける姿と極めて似ています。そうしたアスリートは、足踏みをしているのではなく、継続的に改善を模索し、積極的にトレーニングに取り組むことで、フィニッシュラインを一番で通過しようとしているのです。

 企業も同様に、常に向上に努めなければなりません。トランスフォーメーション(変革)は今日の市場において、死活を決する重要なステップです。必ずしも簡単ではありませんが、企業とチーム、そして個人が努力し続けられれば、競争に打ち勝ち、顧客に尽くすための好位置を得られるでしょう。

プロフィール

Angela Tucci(アンジェラ・トゥッチ)
米CA Technologies アジャイル・マネジメント担当ジェネラル・マネージャ。アジャイル、PPM(Product Portfolio Management)、サービス管理の各グループを統括するとともに、アジャイル・トランスフォーメーション分野もサポートする。CAが2015年に買収したRally Softwareに同社初のCMO(Chief Marketing Officer)として入社し、買収時にはCEOを務めていた。それ以前は、セキュリティベンダーの米SymantecでCSO(Chief Strategy Officer)を務めるなど、エンタープライズソフトウェア業界で20年以上の実績を持つ。

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