[市場動向]

ABEJA、AI開発基盤の取り組みと事例を紹介、日立物流はドライバーの安全運行に活用

2019年3月5日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ディープラーニング(深層学習)を活用したアプリケーションの開発環境をクラウドサービスとして提供しているABEJA(アベジャ)は2019年3月5日、説明会を開き、同社の製品・サービスと直近の事例を紹介した。事例の1つが日立物流で、ドライバーの走行中の車両データからヒヤリハット状態の検出を行うAIモデルを共同で開発した。

 ABEJAは、ディープラーニングを活用したアプリケーションを開発するためのソフトウェアを、PaaSやSaaSなどのクラウドサービスの形態で提供しているベンダーである。アプリケーションやAIモデルの開発を支援するPaaS基盤「ABEJA Platform」(図1)を軸に据えつつ、小売流通業向けにデータ解析機能を提供する「ABEJA Insight for Retail」などを提供している。

図1:ABEJA Platformのアーキテクチャ(出典:ABEJA)
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 ABEJA Platformを活用した直近の事例の1つが、日立物流と共同で開発した、ドライバーの走行中の車両データからヒヤリハット状態の検出を行うAIモデルである。

 日立物流は、ドライバーの安全な運行を管理するシステムを稼働させている。同システムでは、事故を未然に防ぐため、ドライバーの生体情報や運転中の映像などのデータを各種のIoTセンサーから取得して解析する。こうして、事故発生につながる可能性のある状況を特定することによって、事故を未然に防ぐ。

 今回、運行管理システムに蓄積したデータから、ヒヤリハット状態を定義して学習することにより、走行の危険度評価を自動化するAIモデルを開発した。2019年4月をめどに、運行管理システムからAPI経由で利用できるようにする。ドライバーの走行データをAIモデルで解析し、ヒヤリハット状態を検知して、ドライバーと管理者にフィードバックする。

 ABEJA Insight for Retailを導入した直近の事例の1つが、三陽商会である。直営19店舗にABEJA Insight for Retailを導入し、店舗の運営を改善した。店前通効率・入店率・買上率だけでなく、接客率や試着率なども検証した。次の施策として、代表店舗にフロアカメラを設置し、動線分析なども実施する。

画像認識精度を検証できるSaaSも開始、初期の仮説検証を簡便に

 2019年3月5日には、非エンジニアでもAIの仮説検証を迅速・安価に進められるサービス「ABEJA Platform Accelerator」(α版)を発表した。学習に必要な画像などのデータをアップロードし、あらかじめ用意しているAIモデルでデータを学習させることができるサービスである。これにより、学習結果の精度を評価できる。これまでコストがかかっていた検証のためのプロセスを簡略化する。2019年3月時点で利用できるAIモデルは、画像のクラス分類と画像の物体検出の2つ。

 2019年3月5日にはさらに、次世代のテクノロジーを探究する研究開発プロジェクト「ABEJA X」を始める。まず、組み合わせ最適化問題を高速に解く量子アニーリングのソフトウェア開発に向けた研究に着手する。研究機関や企業による「量子アニーリング研究開発コンソーシアム」(仮称、2019年4月設立予定)にも参画する。

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