アイ・ティ・アール(ITR)は2025年7月10日、国内のAIOps/運用自動化市場における規模の推移と予測を発表した。2024年度の売上金額は前年度比19.8%増の86億4800万円で高い伸びとなった。2025年度も同18.9%増と引き続き高い成長を見込んでいる。今後さらに導入が加速すると見ており、2024~2029年度のCAGR(年平均成長率)は運用管理市場14分野中で最も高い20.4%を予測している。
アイ・ティ・アール(ITR)は、国内のAIOps/運用自動化市場の推移と予測を示した。2024年度の売上金額は前年度比19.8%増の86億4800万円で高い伸びとなった。2025年度も同18.9%増と引き続き高い成長を見込んでいる。今後さらに導入が加速すると見ており、2024~2029年度のCAGR(年平均成長率)は運用管理市場14分野中で最も高い20.4%を予測している(図1)。

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同調査におけるAIOps/運用自動化は、システム運用プロセス(障害対応、プロビジョニング、構成管理、ソフトウェア配布など)を自動化する製品・サービスを指す。運用手順書を自動実行するRBA(Run Book Automation)、インフラの構成管理を自動化するIaC(Infrastructure as Code)、AI/マシンラーニング(機械学習)を用いて運用の自動化を支援するAIOpsプラットフォームが含まれる。
「近年、システムの大規模化と複雑化により、運用要員の負荷拡大が課題になっている。課題解決に向けて、AIOps/運用自動化への注目が高まっている。また、運用の効率化だけでなく、データ分析による意思決定の最適化にも寄与する。特に、AIを活用した異常検知や予知保全の技術はトラブルの未然防止に効果を発揮する」(ITR)
市場をパッケージとSaaSの提供形態別に見ると、SaaS市場の2024年度の売上金額は前年度比28.2%増の成長率で約42億円に拡大しており、2025年度にはパッケージ市場を上回ると予想している。パッケージ市場のCAGRが14.6%であるのに対し、SaaS市場は25.5%と非常に高い伸びを示し、2029年度の売上額は130億円に達すると予測している。
同社シニア・アナリストの入谷光浩氏は、「今後は、生成AIの進化により、AIOpsの能力がさらに高度化していく。単なる運用作業の効率化や自動化にとどまらず、システム障害などの問題解決の支援や、ナレッジ活用によるスキル平準化など、活用範囲は飛躍的に拡大していく」とコメントしている。
今回の発表は、市場調査レポート「ITR Market View:運用管理市場2025」に基づく。同レポートは、同市場の全14分野を対象に、国内52ベンダーへの調査から2023~2024年度の売上実績および2029年度までの売上予測を掲載している。