ヤフー(Yahoo! JAPAN)は、データ分析基盤のネットワークを刷新した。2019年3月から新しいネットワークでデータを分析している。新ネットワークの特徴は、LinuxベースのネットワークOS「Cumulus Linux」と汎用スイッチを採用したこと。ネットワークを構築した伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が2019年4月25日に発表した。
Yahoo! JAPANは、検索サービス、ニュースサイト、EC(電子商取引)サイトなど、100以上のサービスを提供している。分析対象のデータは日々増え続けている。これに対して、拡張性や運用性が高いITインフラの導入を推進している。
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今回、データ分析用のネットワークを刷新した(図1)。特徴は、ネットワークスイッチに、汎用のハードウェアとOSを採用したことである。特定メーカーの独自技術に依存することなく、柔軟にネットワークを構築できるようになる。
具体的には、LinuxをベースとしたネットワークOS「Cumulus Linux」(米Cumulus Networks製)を採用。ハードウェアはOCP(Open Compute Project)仕様に準拠したスイッチとして、米Facebookが開発したシャーシ型スイッチ「Backpack」と、台湾Edgecore Networksが開発したボックス型スイッチ「AS5812-54T」を採用した。
汎用のハードウェアとオープンソースソフトウェアを組み合わせることのメリットは、サーバー管理者(Linux管理者)のスキルでスイッチの運用や監視ができること、Linuxであるため、オープンソースの運用管理ソフトを使ってネットワークの運用を効率化・自動化できること、などである。導入コストも安くつく。
データセンターネットワークは、リーフスイッチとスパインスイッチの複数階層で構成するIP Closアーキテクチャを採用した。これにより、帯域を有効活用できるほか、スケールアウトによる拡張を容易とした。この上に、仮想的にレイヤー2通信を実現するVXLANを導入した。VXLANは、レイヤー2のフレームをレイヤー3パケットでカプセル化するオーバーレイ型のSDNを実現する。