シスコシステムズは2019年6月19日、都内でラウンドテーブルを開き、簡単に使えることを追求したネットワーク機器「Cisco Meraki」シリーズのメリットをアピールした。実際に、ネットワークカメラやSD-WAN製品をデモンストレーションしてみせた。新製品のネットワークカメラ「MV32」では、単一の360度カメラ映像から仮想的なパン/チルト/ズーム映像を生成できる。
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「強力なテクノロジーをシンプルにすることで、本来の仕事に集中できるようになる」――。米Cisco SystemsでCisco Merakiシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるトッド・ナイチンゲール(Todd Nightingale)氏(写真1)は、Cisco Merakiシリーズのミッションをこうアピールする。同シリーズでは「ユーザー体験がすべてシンプルになる」(トッド氏)という。
Cisco Merakiシリーズは、ネットワーク機器の設定をクラウドで一元管理できるようになっている。シスコはこの特徴を前面に打ち出して、システム/ネットワーク管理者の手薄な中堅・中小企業や、店舗、工場などのビジネス現場環境に適したソリューションとしてアピールを続けてきた。
ユーザーは、CLIによるコマンド操作に習熟していなくとも、クラウド上のGUI管理画面から簡単に設定や管理が行える。現在、無線LANアクセスポイント「MRシリーズ」を中心に、スイッチ機器「MSシリーズ」、セキュリティとSD-WANの「MX/Zシリーズ」、ネットワークカメラ「MVシリーズ」などをラインアップする。
ラウンドテーブルでは、Cisco Merakiが最近注力している分野として、ネットワークカメラ(MVシリーズ)の機能を説明した。特徴は、マシンラーニング(機械学習)を活用した映像の解析など、スマートカメラ化を図っていること。例えば、映像に写っている人間の人数をカウントするピープルカウント機能を持っている(画面1)。
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ピープルカウント機能が役立つ例として、小売店舗が混んでいる時に適切に接客できているかを監視する、といった使い方がある。ピープルカウント機能によって、人が一番多かった時間帯が分かる。この時間帯を管理画面でマウスクリックすると、該当する時間帯の画像を再生できる。
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ネットワークカメラはこのほかにも、映像をリアルタイムに解析して処理する各種の機能を持つ。ラウンドテーブルでは、実際に米国にあるネットワークカメラの映像をリアルタイムに表示してみせた。例えば、機密情報が漏洩しないように、映像の一部にマスクをかける処理ができる。また、特に監視したい場所を設定しておくと、設定した場所を人物が通過した前後の状況を連続撮影して1枚の静止画に収められる(画面2)。
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直近で発表した新製品のネットワークカメラ「MV32」も紹介した(写真2)。360度カメラであり、画像処理によって単一の360度映像から仮想的にパン/チルト/ズーム映像を生成できる。光学式のパン/チルト/ズームカメラは、物理的にカメラを動かすことから、故障の可能性がある。360度カメラならカメラを物理的に動かす必要がないため、故障の可能性が小さい(画面3)。
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国内事例を紹介、ローソンは2万店舗弱に無線LAN APを導入
ラウンドテーブルでは、国内のCisco Meraki事例もいくつか紹介した。ローソンは、2万店舗近くで無線LANアクセスポイントを導入している。現地での設定が不要で、ネットワークにつなぐだけで使い始められることから、アクセスポイントの導入や変更の手間を削減できる。
ネットワークカメラを使った事例の1つが、ヴィエリスが運営する脱毛サロンのKIREIMO(キレイモ)で、カメラで接客状況を監視できるようにしている。別の事例が金剛(KONGO)で、製造現場をカメラで定点観測し、品質データと突合させて品質管理に役立てている。
Cisco Merakiのクラウドが公開しているAPIを利用してアプリケーションを開発している事例の1つが、龍谷大学である。学生向けのポータルサイトで、キャンパスの混雑度合いをリアルタイムに近い形で調べられるようにしている。無線LANの使用状況から、どの場所がどのくらい混んでいるかが分かる仕掛けである。
ラウンドテーブルではまた、SD-WAN製品「MXシリーズ」によって拠点とデータセンターを簡単につなげられることもデモンストレーションした。拠点にSD-WANのエッジルーター機器をつなぎ、クラウドの管理画面からデータセンターとのハブ&スポーク接続であることを選択し、接続先を選ぶだけで設定が完了する。