[インタビュー]
「ミッションクリティカル領域のクラウド移行に強み」─VirtustreamのCEOが示すその根拠
2019年7月3日(水)渡邉 利和
米Dell Technologies傘下のクラウドソリューションベンダーというユニークな立ち位置にある米Virtustream(バーチャストリーム)。同社が今注力するのが、ミッションクリティカルなアプリケーションやデータのクラウド移行だ。同社社長兼CEOでDellのChief Operating Executiveも兼任するローリー・リード(Rory P. Read氏に、その領域でVirtustreamが強みを発揮できる根拠について聞いた。
エンタープライズクオリティのクラウド移行
――あらためて、Virtustreamの事業内容について教えてください。
Virtustreamはクラウドの世界で生まれ育った企業でありながら、企業・組織のミッションクリティカル分野で“エンタープライズクオリティ”を提供できるベンダーでもある。当社は全世界の顧客企業に対し、ミッションクリティカルなデータやアプリケーション、システムのクラウド移行を支援する。例えば、SAPの基幹業務アプリケーションに関しては2500以上のクラウド移行の実績があり、これは業界でも最大規模だ。
そして、現在のVirtustreamが、Dell Technologiesの一部となっているという点も重要だ。Virtustreamは単に若くて俊敏なスタートアップであるのみならず、Dellの強力なバックアップも得られるからだ。この点は顧客からも評価されており、我々のサービスを導入していただく際の安心感につながっている。
2019年5月17日に米国で「xStreamCare」というサービスを発表した。アプリケーションとプロフェッショナルサービスで構成されており、我々のIaaSプラットフォームである「Virtustream Enterprise Cloud」で実行される「xStream」ソフトウェアスタックの上に構築されている。
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また、我々が提供する“Single Handshake”は、顧客にとって真に価値あるもので、xStreamCareをパワフルなサービスとしている理由でもある。顧客のミッションクリティカルアプリケーションとデータの両方を、クラウドに移行させるための唯一のパートナーとして顧客が必要とするものすべてを一元的に提供できる。顧客には、Virtustreamを「エンドツーエンドで支援を提供する信頼できるアドバイザー(Trusted Advisor)としての“1つのチーム”」として選んでいただいているのだ。
――“Single Handshake”とは、どういう意味でしょうか。
Single Handshakeとはすなわち、1つの契約ですべてがカバーできるということだ。一般的なクラウドサービスではクラウドのリソースは提供するが、インテグレートしたりセキュリティの確認などは行わず、SI事業者に依頼したり、あるいは自分でやらなくてはいけない。VirtustreamにはIaaSもあるし、引っ越し、すなわちデプロイメントもやるし、その後の運用も行うので、必要な作業すべてを一元化できる。
特に日本市場の場合、海外市場と比べて顧客企業側にエンジニアが少ないので、顧客自身がハイパースケールクラウドを活用して環境を構築し、運用していくのは極めて困難だ。すべてパッケージになっているわれわれのサービスは、「クラウドは使いたいが新しく勉強しているだけのリソースはない」というユーザーにも使っていただけるだろう。
我々が対象としているのは企業にとって最も重要なミッションクリティカルアプリケーションとデータであり、この移行に関しては何よりも“信頼できるアドバイザーが不可欠だ。われわれは何年もこの分野で実績を積んでおり、多数の顧客企業と“真のパートナーシップ(True Partnership)”を確立している。
私はSingle Handshakeという言葉を気に入っている。この言葉が、顧客企業と我々の真のパートナーシップを表現しているからだ。顧客にとってVirtustreamとDell が信頼できるパートナーになって、ベストなソリューションの提供を受けられる。2500以上ものミッションクリティカルアプリケーションの移行経験から、当社は豊富な知見と経験を蓄積している。
ミッションクリティカルアプリケーションのクラウド移行というのは最近始めた新しい取り組みだが、我々は現時点で「学んでいる最中」ではなく、すでに豊富な実績を有している。そして、ミッションクリティカルアプリケーションを移行しようと考える顧客はまさにそうした信頼できるパートナーを必要としているのだ。
マルチクラウド環境をサポート
――Virtustreamの技術的な特徴は何でしょう。
現在はマルチクラウド時代になっており、顧客のワークロードはオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドなど、さまざまな環境で実行されることになる。VirtustreamのxStreamソフトウェアスタックやxStreamCareはこうしたマルチクラウド環境をサポートしており、今の顧客が求めるものを提供できている。
VMwareの技術が「Dell Technologies Cloud」のベースになっており、Virtustreamのベースも同様にVMwareの技術だ。オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドという複数の環境のインテグレーションはVMwareに基づいて実現されていると言える。そのうえで、VirtustreamはVMwareのプラットフォーム上でミッションクリティカルアプリケーションをサポートするためのテクノロジーやアーキテクチャの部分を担っている。そのため、実際のところDell Technologies Cloudの機能はVMwareの技術とVirtustreamの技術を共に活用して実現されている。
Virtustreamはミッションクリティカルアプリケーションの実行に特化しているが、VMwareはあらゆるワークロードをサポートするプラットフォームを作っているというわけだ。さらに言えば、Dell Technologies Worldで発表された「Azure VMware Solution」はまさにVirtustreamによって実現されている。これは、サービスの実装のためにxStreamソフトウェアスタックが使われているという意味だ。
SoR(System of Records)と言われる、従来型システムのクラウド移行は難しいという認識も広がっている。移行に成功した例もあれば失敗した例もあり、一度は移行してみたものの、その後、オンプレミスに戻したという例もあるようだ。クラウド移行に困難を感じている企業には、「ぜひ、VirtustreamとDellをパートナーにしてほしい」とお伝えしたい。われわれは“適切なパートナー”となり、ユーザー企業と手を取り合ってクラウドへの旅路を歩んでいくことができる。
●Next:オンプレミスのクラウド移行はなぜ難しい?
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