[イベントレポート]

「クラウドをクラウドらしく使って行き着くのはネイティブ」─CloudNative/OpenStackコミュニティが進展を報告

CloudNative Days Tokyo 2019/OpenStack Days Tokyo 2019

2019年8月27日(火)渡邉 利和 ・ IT Leaders編集部

CloudNative Days Tokyo/OpenStack Days Tokyoは、コンテナ、Kubernetes、FaaS/Serverless、OpenStackといった今日のアプリケーション開発やITインフラを考える際に頻度の高いテーマを網羅した開発者コミュニティイベントだ。今年は2019年7月22・23日の2日間、東京都内で開催された。本稿では、開発者コミュニティの幹部と、ゲストスピーカーがリレーでプレゼンレーションを繰り広げた基調講演の模様をお伝えする。

クラウドネイティブが企業ITのメインストリームに

 OpenStack Days Tokyoは今年で7周年を迎えたOpenStackの開発者コミュニティイベントで、2018年からCloudNative Days Tokyoと同時開催のかたちになっている。2013年、秋葉原で国内初のOpenStack Dayが開催されたときは会期が1日のみだったこともあって、イベント名称は単数形のDayだったが、翌年から日程が2日間になり、今のDaysとなっている。

 このイベントが始まった当時は、OpenStack自体の開発の進捗状況が参加者の大きな関心事であり、専らリリーススケジュールの話や、追加される予定の新機能の説明などがトピックとなっていた。しかし、OpenStack環境が技術的に成熟し、ユーザー企業も増えて普及期に入った現在では、OpenStack自体ではなく、より大きな「クラウドネイティブ」で環境を構築することが企業ユーザーの大きな関心事であり、OpenStackはそのための要素という位置づけに変わってきている。

写真1:OpenStack Days Tokyo 2019実行委員長の長谷川章博氏

 一方、コンテナ技術に特化したイベントとして開催されていた「Japan Container Days」はCloud Native Days Tokyoと統合され、今年は、クラウドネイティブがメインテーマとして掲げられた。今日のモダンなアプリケーション開発環境と、それを支える要素技術/ツール群として、OpenStackやコンテナ/Kubernetesの話を展開する、といったように拡大したイベントの性格が明確化された格好だ。

 オープニング基調講演の冒頭で挨拶を行ったOpenStack Days Tokyo 2019実行委員長の長谷川章博氏(写真1)は、まずクラウドネイティブについて、「CNCF Cloud Native Definition v1.0(日本語版)」の内容を紹介。そのうえで、「クラウドと言うとクラウドシフトやリフト&シフトというかたちで、“クラウドの環境に載せる”ことが多く語られるが、我々は今回そこではなく、いかにクラウドをクラウドらしく、ネイティブに、スケーラブルに使っていくか。そのための情報をお届けしたい」と語った。

写真2:The Linux FoundationのJapan Operations担当VPの福安徳晃氏

 続いて、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)をホストする立場にあるThe Linux FoundationのJapan Operations担当VPの福安徳晃氏(写真2)が、「CNCF Just Now」というタイトルでCNCFの現在の活動状況を紹介した。

 福安氏によれば、CNCFでは現在39のオープンソースプロジェクトがホストされている。それらには、プロジェクトのステータスとして「Graduated」(オープンソースプロジェクトして“一人前”になったKubernetesやPrometheus、Envoyなど6プロジェクト)、「Incubating」(一人前になる途上のプロジェクト、現在は17プロジェクト)、「Sandbox」(今後Incubatingに昇格するものもあれば、Sandboxで役目を終えるプロジェクトも。現在は16プロジェクト)の3段階が設定されているという。

 さらに、CNCFに参加している企業の数が400社以上に達し、The Linux Foundationの元で活動しているプロジェクトの中でもCNCFが最大規模になっているという。また、CNCFが公開している、クラウドネイティブ関連の製品、サービス、プロジェクト、企業などのロゴが分野ごとに掲載された「CNCF Cloud Native Interactive Landscape」(画面1)も紹介され、1000以上のロゴが掲載されている。

画面1:CNCF Cloud Native Interactive Landscape(出典:CNCF)
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 福安氏は「現在のところ、この中に、日本企業に関連するものはわずか17しかない。来年か再来年くらいにはこの数が2~3倍くらいになっていれば」との期待を表明していた。

●Next:OpenStackの9年間、Airbnbの事例、OSS活用10の助言、Knativeのポテンシャル

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